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blog 最終更新日:2017年4月11日 6:47 PM

『六月物語』ピッポ・デルボーノさんからビデオメッセージが届きました!

10年ぶりの来日、『 六月物語』を上演するピッポさんからメッセージが届きました!

2007年に上演された『戦争』『沈黙』は、
ご覧になったお客様や、当時を知るSPACのスタッフたちが
今なお「忘れられない」「衝撃だった」と語ることもしばしば。

ピッポさんも、静岡に再びいらっしゃることをとても楽しみにしてくださっているようです。

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皆様こんにちは。
私は現在トリノで、自分の劇団と「orchids(蘭)」を上演しています。
今回、静岡に再び訪れることになり、とてもうれしく思います。
前回は静岡で、私の劇団と『戦争-Guerra』『沈黙-Il Silenzio』の二つの作品を上演しました。
雨が降る中で上演を続け、観劇してくださったお客さまも、小道具の原稿も雨に濡れたのをよく覚えています。
終演後のトークでも、皆様ずぶ濡れになりながらじっと私を見つめて話を聞いてくださっていました。
この演劇祭は、そういう、本当にすばらしい機会です。
そんな場所に戻ってこられることを、うれしく思います。
今回はぺぺと一緒に行きますが、前回とは違って独りで、語りの芝居(モノローグ)をやります。
このモノローグは、前回の静岡でも出演したボボを含めた色々な人達との出会いや、
病気や死との戦い、その中に見出す幸せ、そして「演劇」そのものをテーマにしています。
この作品をあなた方の演劇祭で上演することが、とても大事なことだと考えています。
では、またすぐお会いしましょう。チャオ!

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デルボーノ自らが、病や死との戦いを経てきた壮絶な人生を、即興で語る『六月物語』。
演劇とは「言葉をみずからの命をこめて読む」ことであると話すデルボーノ。
「死」に向き合ってきたから彼だからこそ描き出すことのできる、繊細で強靭な「生」への讃歌です。
楕円堂という親密な空間に立ち現われる、1ステージ限りの貴重な上演をお見逃しなく。

席数が限られますので、どうぞお早目にお問い合わせください。

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六月物語
構成・演出・出演:ピッポ・デルボーノ
5月1日(月)20:00
舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」
詳細は こちら 
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blog 最終更新日:2017年4月10日 9:01 AM

『アンティゴネ』木津潤平が語る舞台美術プラン

今年の「ふじのくに⇄せかい演劇祭」の目玉、SPAC新作 『アンティゴネ~時を超える送り火~』は、
今年7月、世界最高峰の演劇の祭典「アヴィニョン演劇祭」に招聘され、
最大の会場「法王庁中庭」で同演劇祭のオープニングを飾ることが決定しています。
宮城は、人間を「敵か味方か」に二分しない王女アンティゴネの思想に、
日本人の「死ねば皆等しく仏になれる」という死生観を重ね、
キリスト教の総本山であった法王庁で上演することで、憎悪の嵐が吹き荒れる今日の世界に、
演劇的メッセージを放とうとしています。
この宮城の考えを、実際の劇場空間に視覚的に落とし込んでいくのが、
宮城と長年タッグを組み、数々の斬新な舞台美術プランを提案し続けてきた建築家の木津潤平さん
東京プレス発表会で、その驚きのプランが明らかになりましたので、ご紹介します。

※以下木津潤平さんの東京プレス発表会での発言要旨

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「死んだら、皆、仏」という死生観をどう表現するか、この法王庁中庭という特別な空間をどうやったら味方に付けられるのか、という2つの課題があって、それにどう応えるかということが私の一番のテーマでした。

そこで、まずステージ部分に全面に渡って水を張ることにしました。これは、「この世」と「あの世」をつなぐ場所、つなぐ境界としての水面です。わかりやすい例で言えば、平等院鳳凰堂のような、浄土の表現としての水面というものを設定しています。これは「死生観」という言葉にも表れていると思います。「死生観」というのは「死」の次に「生」があるんです。「生死」じゃないんです。つまり「死生観」という言葉の中には、「生の終わりが死である」という定義ではなく、まずベースに死というか何もない状態があって、その上に「生」が存在しているという考え方があるんです。そのように捉え、この水面は、「魂の帰る場所」というものをイメージしています。

antigone空間デザイン資料_1その中に、龍安寺の石庭のようなイメージで、石をところどころ、島のように配置します。つまり「生」というのは、この「魂の空間」の中に浮かんだ島のようなものである、と。舞台上にいる俳優たちは、皆等しく仏、「無垢な魂」です。そのうち、石の上に乗っているのが、アンティゴネやクレオン、ハイモンといったこの芝居に登場する人物です。石の上に乗っている間が、ほんの短い人の一生である、というふうに表現できるかな、と思いました。

ただ、このまま何の工夫も無しにやってしまうと、失敗するだろうな、というのが正直目に見えていました。その理由は、2つ目の課題、法王庁の巨大な空間です。2,000人を収容する客席をすっぽりその内側に抱え込んでいて、3面に25m強の高さの壁がそそり立っています。そのため、客席の後ろの方からは、登場人物がとんでもなくちっぽけにしか見えません。それでは、神話の世界を表現しようがない、それが最大の課題でした。
似たような課題が、2014年にアヴィニョン演劇祭のメイン会場の1つ、ブルボン石切場で『マハーバーラタ』を上演した時にもあって、この時は客席の配置を通常と全く変え、地面ギリギリの低いところにある客席から舞台を見上げる、というプランで解消できました。しかし、去年の夏下見に行った際、アヴィニョン演劇祭のテクニカルディレクター・フィリップさんに、「この会場を使うにあたっては、絶対に客席はいじるなと」挨拶もそこそこに言われてしまいまして(苦笑)。

antigone空間デザイン資料_2そこで、これを逆手に取って、この壁をいかに使えるか、ということを考えました。そそり立つ巨大な壁面を野球のスタンドのような客席から見下ろしますので、目の前に大きなスクリーンがあるようにしか見えない。ですので、この巨大な壁面をスクリーンに見立て、俳優の影をそこに映し出すことで、影絵芝居にしてしまったらどうだ、ということを宮城さんに提案しました。水辺に漂っている魂に光を当てると、壁面に影絵が浮かぶようになる。その影絵で、王女アンティゴネの悲劇の物語がどんどん展開していく。この奥行のない影絵、二次元の世界が実はこの世であって、手前の三次元の部分はあの世である、という見方をすると、ちょっと面白いんじゃないか、ということで、プロダクションが進んでいます。

 

IMG_1652この「現世の肉体は、あの世の魂が投影された陰である」というコンセプトは、どこかで引っかかりがあると記憶を探りましたら、般若心経の「色即是空」に割と近い。「この世の形あるものは皆何かの影、空である」ということを言っているらしいので、そういう意味でも日本的な死生観・宗教観を影絵によってあらわせるんじゃないかと思っています。

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駿府城公園での公演でも、舞台上に水を張り、影絵を出すというプランを可能な限り行う予定です。

木津さん曰く、この芝居は、影絵を観て良し、俳優の身体を感じて良し、音楽を聞いてさらに良し、と3回は楽しめるとのこと。世界に先駆けての駿府城公園での上演、どうぞご期待ください!

 

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ふじのくに野外芸術フェスタ2017
第71回アヴィニョン演劇祭オープニング招待作品
アンティゴネ 時を超える送り火
構成・演出:宮城聰 / 作:ソポクレス / 出演:SPAC
5月4日(木・祝)、5日(金・祝)、6日(土)、7日(日)各日18:30
駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
*詳細はこちら
*アヴィニョン公演の詳細はこちら
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blog 最終更新日:2017年4月6日 11:00 AM

リビング静岡×SPAC『アンティゴネ ~時を超える送り火~』鑑賞講座を開催しました!

静岡市にあるリビングカルチャ―センターにて、 『アンティゴネ ~時を超える送り火~』の鑑賞講座が実施されました。

SPAC俳優の横山央が講師を務め、『アンティゴネ』の見どころなどを解説するこの講座。
参加者は一度はSPACの舞台を観劇に行ったことはあるけれど、ギリシア悲劇って難しそうだし、事前に内容を知っておきたいという方たちがお集まりくださいました。

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講座の中盤ぐらいまでは、座学で『アンティゴネ』のあらすじや人物相関図などを使いながら説明。
しかし、登場人物の名前がカタカナばかりでなかなか頭に入ってこないような…と思っていたところ、『アンティゴネ』の戯曲の冒頭部分を参加者で読んでみる、いわゆる「リーディング・カフェ」に挑戦しました。

横山の指導のもと軽くストレッチと発声練習をした後の台本読みでは、「普段はこんなに声でない」とご本人も驚きのしっかりした台詞まわし。参加者の皆さんの名演により、冒頭を読んだだけで、姉のアンティゴネ、妹のイスメネの人物像がくっきりと浮かんできました。

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受講生の皆さんは4月16日(日)に『アンティゴネ』の稽古見学にも参加、5月5日の本番を鑑賞する予定です。
この機会に観劇仲間を作るいい機会でもありますね。

この講座は4月8日(土)13:30~もう1回実施されます。
まだ定員に空きがありますのでぜひ今からでもお申込みください!
https://festival-shizuoka.jp/2017/information/2257/

blog 最終更新日:2017年4月5日 7:08 PM

“MOON”の裏側 #1 ~占領された野外劇場~

これ、何だとおもいますか?

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チラシやウェブサイトの注意事項にもある「ご来場の皆様にはヘルメットをご着用いただきます。」という、とても気になる一文。さらには、電話でチケットを予約する際にも「ヘルメットをかぶっていただきます」と、釘を刺されます。(でも、危険な作業をさせられるというわけではないですよ。)

私たち制作スタッフも、 『MOON』に関して様々なご質問をいただきましたが、新作なので作品の内容はまだわからないけど、とりあえず「全員がヘルメットをかぶります!」ということだけ、お伝えし続けてまいりました。

そして今まさに、舞台芸術公園 野外劇場「有度」が、そのヘルメットに占領されています!溢れています!!

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先日のプレス発表会で、タニノさんが「“ヘルメットが300個届きました”というメールの文面をみて、爆笑してしまいました(笑)。」と仰っていたのですが、事実、舞台上や楽屋などあちらこちらで、なんともインパクトのある光景が広がっています…

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丸いものがこれだけたくさんあると、色々な想像が生まれます。皆さんは何に見えますか?

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幾度と「夜な夜なスカイプ作戦会議」が行われ、タニノさんと本作プロダクションデザイナーのカスパー・ピヒナーさんの思い描く夢のような世界が、着々と実現へ向かっています。

野外劇場「有度」での滞在制作は、いよいよ来週からはじまります!

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MOON
作・演出:タニノクロウ
プロダクションデザイン:カスパー・ピヒナー
4月29日(土)19:00開演、4月30日(日)18:30開演、5月3日(水・祝)18:30開演
舞台芸術公園 野外劇場「有度」
詳細は こちら

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blog 最終更新日:2017年4月5日 4:39 PM

『ダマスカス~』演出家オマル・アブーサアダさんからビデオメッセージが届きました!

今回、初来日となる 『ダマスカス While I Was Waiting』の演出家オマル・アブーサアダさんから、ビデオメッセージが届きました!
現在もシリアで活動を続けるアブーサアダさんの肉声によるメッセージです。ぜひご覧ください。
 


 
アブーサアダさんから日本の皆さんへ
実はこの 『ダマスカス While I Was Waiting』は、実際に僕の知り合いに起こった出来事から着想したものです。彼はダマスカスで体制側の暴行を受け、意識不明になりその2か月後に亡くなりました。この話に僕は衝撃を受け、戯曲にできないかと考えたのです。それで脚本家のムハンマド・アル=アッタールに話を持っていき、この作品が出来ました。

この作品は2015年ごろのダマスカスを巡る話です。意識不明の青年を軸にその家族や親しい人たちの変化を描いています。そして内戦下、約1年間のダマスカス社会を戯曲という形で表しました。またこの作品は、主人公の青年だけではなく、2011年の反体制運動(「アラブ革命」)において、積極的に活動していた青年たち全般の状況も示しています。「アラブ革命」が多くの死者を出す内戦状態に陥るなか、彼らの活発さは徐々に沈静化し、彼らも事態を見つめるだけで積極的な対応は出来なくなっていきました。

今回、初めて日本で上演することになり、この貴重な経験をとてもうれしく思っています。前から日本の文化に興味がありましたし、日本の映画や演劇も多少知っています。この作品は現在シリアで起こっていることについて、日本の皆さんにいくつもの疑問を投げかけるものになると思います。またネット等で入手できる情報とは異なる、事実の一側面を示すものでもあるでしょう。僕は、演劇は事実のある側面を共有する場であると考えています。

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来日メンバーは総勢11名。

演出家のオマル・アブーサアダさんは、内戦状態のシリアで活動を続けていますが、劇作家のムハンマド・アル=アッタールさんは、シリア国内に留まることができなくなり、現在はドイツ・ベルリンを拠点に活動されています。

ほかのスタッフや出演者も、今もシリアで生活している方もいれば、国外に逃れ、ヨーロッパや近隣国での生活を余儀なくされている方も。

そんなみなさんが、今回の公演のために静岡に集まります。そして、昨年2016年に作られたばかりの、シリア・ダマスカスに生きる人々にとっての、等身大の今を伝える作品を、私たちの目の前で見せてくださいます。

どうぞ、お見逃しなく!

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ダマスカス While I Was Waiting
演出:オマル・アブーサアダ / 作:ムハンマド・アル=アッタール
5月3日(水・祝)14:30開演、5月4日(木・祝)13:00開演
静岡芸術劇場
詳細は こちら
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