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blog 最終更新日:2017年4月1日 2:26 PM

『アンティゴネ』美加理ロングインタビュー(後編)

このたびSPACは、世界最高峰の演劇の祭典「アヴィニョン演劇祭」(フランス)に招聘され、宮城演出の『アンティゴネ』を同
演劇祭のオープニングとしてメイン会場「法王庁中庭」で上演することが決定しました!

本作で王女アンティゴネを演じるのは、これまでも多くのSPAC作品に出演し、独特の存在感で観客を魅了してきた美加理。
稽古開始に先立つ1月末、本作『アンティゴネ』への思いや、舞台で演じるに際し大切にしていることなどを伺いました。
先日の前編に続き、後編をお贈りします。  
 
─ 舞台に立って演技をしながら、お客さまの反応を感じるようなことはありますか?
 
お客さまの反応は、体の動きはもちろん、心の動きのようなものも薄ら感じられる気はします。お客さまが舞台に集中していて、頭の中でイマジネーションがめまぐるしく動いているようなときは、役者はそのエネルギーのようなものをいただきながら演技していますし、同時に、「お客さまの集中した状態に水を差さないようにしよう」「余計なことをしないようにしよう」と思って演技を少しだけ抑えたりもします。逆に、あまり舞台に集中していないようなときは少し多めに動いたり。といっても、極端に変えるというよりは、無意識のうちに変化をつけている感じですね。

また、過去、そこにいた人たちの想いだったり熱気だったりを感じることもあります。私は、今いる観客の皆さまの反応や、過去の人たちの想いや熱気をまとめて“場のエネルギー”と呼んでいます。この“場のエネルギー”の存在を、ある舞台をきっかけに強く実感するようになりました。

浅草のトキワ座という劇場で一人芝居をしたときのことです。その劇場は、浅草が本当に賑やかだった時代に、エノケンこと榎本健一さんや古川ロッパさんも出演されていた劇場で、連日熱気に包まれていたそうです。そんな場所で一人芝居をしているうちに、毎日ここに人がいっぱい集まって、皆が声を上げて大笑いして……という“気”がうわーっと押し寄せてきた瞬間がありました。そのとき、「目には見えないけれど、人の想いはその土地にエネルギーとして残っているんだなあ」と実感したんです。

もちろん人気(ひとけ)だけではなく、樹木や石、大地や建物そのものの息遣いを、毎回敏感に感じ取りながら演技できるようになれたら良いのですが……。実際は、緊張したり、芝居をするのに精一杯だったりと、まだまだ難しいですね。

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─ どれだけ舞台経験を踏んでも緊張するものなのでしょうか。
 
いまだに緊張します! 舞台の初日でも何でもないのに、理由なく急に緊張しちゃうなんてことは日常茶飯事です。私自身は特に緊張していなかったのに、役者の誰かが緊張していてそれが連鎖して緊張するということもあります。

何週間かにわたる公演の、中盤になって少し慣れが出てくる頃も要注意なんです。芝居がルーティンになりかけているせいでしょうか、舞台上で意識がぽんと飛んでしまうようなことがあるんです。そこで、「意識が飛ばないようにしなくちゃ」と気をつけるわけですが、そうやって身構えると体がガチガチに固まってしまって、最終的にものすごく緊張してしまう、というケースもあります。
 
─ 意識が飛びそうになるときがあるんですね!
 
はい。そんなときは、必死で耳を澄ませます。これは宮城の教えなんです。宮城はよく、「舞台の上では何が起こるかわからない。だから、緊張してしまったり、違うことに意識が捕らわれてしまったりして危ないなと感じたら、まず耳を澄ませて周囲の音やほかの役者のせりふ、音楽を冷静に聞きなさい」と言っています。こうすると、意識がすっと戻ってくるんです。他にも、わからないように爪を立ててツボを刺激したり、お尻の穴を閉めたり(笑)するのも効きます。魂が落ちこぼれないように(笑)
 
─ 改めて『アンティゴネ』について伺います。2017年版の見どころを教えてください。
 
宮城からは、フィナーレの演出が大きく変わると聞いています。2004年版は葬列をイメージしたものだったんですが、今回は役者総出の盆踊りになるとか。このほか、宮城作品の特徴の一つである役者による生演奏についても奏者の配置がかなり変わるようですし、一つの役を「語る俳優」と「動く俳優」の二人で演じる上演スタイルになるかも、という話です。ですから、私たち役者にとっても今回の『アンティゴネ』は新たな挑戦と言える作品になります。そのあたりを見ていただけると嬉しいですね。

また、世界最古の演劇といわれるギリシア悲劇を、駿府城公園という身近な場所で、夜空を見上げながらご覧いただけるのも、今回ならでは。古代ギリシャや、古の人々の心に思いを馳せながら、今を感じ、未来を考える。そんなゴールデンウィークはいかがでしょうか?

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─ 「面白そうだな」思いつつも、「ギリシア悲劇って難しそう」「敷居が高そう」と尻込みする方も多そうです。
 
私もそう思います(笑)。ギリシア悲劇はとにかく壮大ですから。ですが、だからといって、現代を生きる私たちとまったく無縁かといえばそうでもないのでは?と思うんです。むしろ、ギリシア悲劇に込められた、神、人間の運命、国家と人の営みの関係といった問題は、この“今”という時代を生きる私たちだからこそ、より深く共感できる部分もあるのではないでしょうか。同時に、ギリシア悲劇で描かれる出来事を私たちの人生に置き換えて考えてみると、案外生きる上でのヒントが見つかるかもしれません。2500年たとうが、人間の変わらなさ加減を認めたうえで、何かはっと閃めく瞬間を見いだせることもあるだろうと思うのです。

また、ギリシア悲劇は、膨大な台詞や音楽などによって精神の緊張や高揚をもたらし、そのギリギリの肉体や精神の糸が切れる瞬間に、役者にも観客にも開放感(カタルシス)が訪れます。そこで繰り広げられる盆踊りが、皆さまの心や、世界の寿ぎの場になるよう念じて舞台に臨みたいと思います。

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─ 最後に、公演を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
 
私は「場」が持つエネルギーを感じるよう努めて演じています。エネルギーの素となっているのは、その土地の自然と、今いる観客の皆さまと、かつて生きていた人たちの存在や想い。そして我々作り手です。この目には見えないエネルギーの往き来が日々違うことで、立ち現われるものも変わります。それは公演を重ねるたびに蓄積され、作品の強度になっていきます。お客さまの心や魂が動くことで劇は完成されるのだと、つくづく感じます。

さらには、観客の皆様や私たちのご先祖様など、あの世の方々がふらりと芝居見物に来て下さるといいですね。

実は、本作『アンティゴネ』は駿府城公園でお披露目したあと、フランスで毎年開催される世界的な演劇の祭典「アヴィニョン演劇祭」で上演することになっているんです。ですから、できるだけ大勢の皆さまにご来場いただき、この駿府城公園の公演で立ち現れたエネルギーをアヴィニョンに携えていけたら…と考えています。皆さまのお越しを心よりお待ちしております。

(2017年1月 静岡芸術劇場2Fカフェ・シンデレラにて)

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ふじのくに野外芸術フェスタ2017

アンティゴネ 時を超える送り火
構成・演出:宮城聰 / 作:ソポクレス / 出演:SPAC
5月4日(木・祝)、5日(金・祝)、6日(土)、7日(日)各日18:30
駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
詳細はこちら
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blog 最終更新日:2017年3月18日 12:22 PM

『アンティゴネ』美加理ロングインタビュー(前編)

静岡のゴールデンウィークを彩る「ふじのくに⇄せかい演劇祭」。今年も開幕まで1ヶ月あまりとなりました。一番の注目作、駿府城公園で上演される宮城聰演出の『アンティゴネ』は3月より稽古がスタート。俳優たちが連日話し合いを重ね、少しずつシーンが創られています。
 
稽古開始に先立ち、本作でアンティゴネを演じる女優・美加理に、本作への思いや俳優としての役作りへの姿勢など伺いました。
 
─ まずは『アンティゴネ』の概要について教えていただけますか。
 
『アンティゴネ』は、古代ギリシャ三大悲劇詩人の一人・ソポクレスが書いた戯曲です。宮城聰は、SPAC芸術総監督就任前の2004年にク・ナウカシアターカンパニーで本作を演出、ギリシャ・デルフィの古代競技場や東京国立博物館などで上演しました。今回は実に13年ぶりの再演となりますが、ほぼ新作です。

アンティゴネはテーバイ国の前国王オイディプスの娘で、敵となった兄の亡骸を現国王クレオンの命に背いて埋葬したことから、王の逆鱗に触れ、死を命じられます。この非情な仕打ちに対して、アンティゴネ自身と彼女を取り巻く人たちは何を思い、どう振る舞うのか─。「生と死」「弔うこととは?」という普遍的な問いを、本作を通じて観客の皆さまと考えられればと思っています。また、人間の法を説くクレオン王と、神々(自然物や自然現象に宿る叡智)の法を大切に守ろうとするアンティゴネ、二人の言い分はそれぞれに興味深く、どちらの側に立って観ていただくかでこのお話の味わいも異なっていきます。そういった部分もお楽しみいただければ。
 
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─ 美加理さんから見て、アンティゴネはどんな女性ですか。アンティゴネはなぜ、命を賭してまで兄を埋葬しようとしたのでしょうか。
 
2004年に演じたときは、アンティゴネを、強さと、破滅へと向かう危うさを持った女性だと感じていました。また、私自身が若かったこと、さらには当時の時代性もあって、前回はそういった部分を特に意識して演じたつもりです。

けれど、今回は少し違うアプローチをするかもしれません。この13年の間、年齢を重ねながら私なりに何かを培い、その一方で失ってもきました。それがどう影響するのか…。アンティゴネの強さや、言葉の説得力というものは変わらずに表現しつつも、彼女の中にある別な側面も掘り出していけたらと思っています。

彼女があのような行動をとった理由については、彼女の生い立ちがヒントになるのではないでしょうか。アンティゴネの父であり、テーバイ国の前国王であるオイディプスについては、別のギリシア悲劇で語られています。それによると、オイディプスは実の両親の顔を知らずに育ちました。そしてある日、かつて自分が殺した男が実の父であり、結婚して子をもうけた相手が実の母であるという事実を知ってしまいます。ショックを受けたオイディプスは、自らの両の目を刺し貫き、国王の座を捨て、娘・アンティゴネとともに流浪の旅に出るのです。

つまり、アンティゴネも、彼女の兄妹も、その出生には近親相姦というタブーがあります。アンティゴネの振る舞いは、そうした出生と無関係ではないだろうと思うのです。そして、これはあくまでも私の想像ですが、彼女は、自ら埋葬した兄ポリュネイケイスに対して何か特別な思い入れを持っていたのではないかしらん、と想像しています。韓流ドラマ的に?(笑)刺し違えた二人の兄のうち、味方となったエテオクレイスのみ埋葬したクレオン王に対して、アンティゴネは敵となったもう一方の兄ポリュネイケイスも等しくあの世に送り出さなくては神々の掟に背くことになると主張します。どんな立場、どんな形で死を迎えた人も、等しくあの世に送り出すべきであると。また、彼女は今生で生きることよりも、死への欲動が強かったのかもしれません。
 
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─ これまで、アンティゴネをはじめとするさまざまな役を演じていらっしゃいます。役作りはどのようにされていますか?
 
まず、戯曲を読んで、どんな身体感覚を持った役なのかを考えます。宮城作品には、一つの役を「語る俳優」と「動く俳優」の二人で演じる上演スタイルがあります。私は「動く俳優」を担当することが多いのですが、大切なのは、舞台という空間に立ったとき、できるだけニュートラルな状態でいること。役や舞台のエネルギーが自由に行き来できる容れ物になる、と言えば良いでしょうか。そのための自分なりの訓練方法もあります。

たとえば、昔はよく“空間に溶け込む訓練”をしていました。これは、森の中であるとか、歴史的建造物があるところだとか、そういう場に力がありそうなところに身を置いて、聞こえてくる音や温度、光やにおいといった周囲の状況と、それに対する自分の反応を感じるというものです。

自分の中心を通る軸が上下左右に無限に延びるさまを思い描きながら、「1m先には〇〇があって、さらにその先には〇〇県があって、足の裏のはるか先にはブラジルがあって…」という具合にイメージするトレーニングもやっていました。「ヤノマモ族の少女は、今、素手で魚を捕まえているのだろうか、どういう風を受けているのかな」などとあれこれ思い描きながら、遠く離れたところと自分をイメージ上でつなげる、みたいな。
そうやってできるだけ透明な身体でいられるようにしておいて、舞台の上から劇世界をうつし出す役の身体を創造していくのです。

そして、稽古が始まったら、「語る俳優」を担当する役者さんと協同して役作りをしていきます。私は私なりの、語る俳優は語る俳優なりの役へのイメージや考え方があるので、それをすりあわせる作業をしながら、二人三脚で役を作っていくという感じですね。
 
─ せりふはどのように覚えていらっしゃいますか?
 
私はファミレスのような少し賑やかな場所で覚えることが多いですね(笑)。台本に書かれたせりふを、色えんぴつを使って色分けしながら覚えます。せりふを読むと、ピンクだったり、緑だったり、言葉のイメージカラーのようなものが浮かんでくるので、その通りに塗っていくと不思議と覚えられるんです。家のような静かな場所でやろうとすると、つい違うことをしてしまってなかなか集中できません。ちなみに、同じSPAC俳優の阿部一徳さんは、散歩しながら覚えるとおっしゃっていました。

私はせりふ恐怖症のところがあって、日本語として意味合いは同じなんだけど、台本とは違うせりふを言ってしまうことが結構あって、本番でもよくやらかしています(笑)。
 
─ 後編につづく

(2017年1月 静岡芸術劇場2Fカフェ・シンデレラにて)

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ふじのくに野外芸術フェスタ2017

アンティゴネ 時を超える送り火

構成・演出:宮城聰 / 作:ソポクレス / 出演:SPAC
5月4日(木・祝)、5日(金・祝)、6日(土)、7日(日)各日18:30
駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
詳細はこちら
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blog 最終更新日:2017年3月17日 3:52 PM

チラシ・ポスターを貼りに街中へ出かけています♪

チラシ・ポスター完成!ということで、これからどんどん街中へ貼りに出かけていきます♪
今回は、静岡市内を回ってきました。皆様ご協力いただき、ありがとうございます!

まずは…葵区横田町にあるミニデパート?【マルヒラ呉服店】さんへ!
笑顔の可愛いおかあさんと桃の花♪がっとても綺麗でした。
呉服以外にも素敵な商品が置いてあります。そんなお店を見てお孫さんが雑貨屋さんみたいだね~と言われたとのこと。
いやいや「雑貨だけじゃないわデパートよっ!」とおかあさん。静岡鉄道の音羽町駅のすぐそばにあります。

マルヒラ呉服店
〒420-0835 静岡県静岡市葵区横田町8−13
マルヒラおたs マルヒラ絵s マルヒラ母s
 
 
続いて…鷹匠の北街道沿いにある【イートインカフェMaiar】さん。店主さんにチラシを持って頂き、パチリ☆
お店の看板商品があり「マイアーアイス」という、あったかいホットケーキの生地にアイスが挟まっているお菓子があります。そのほかにもドリンクや手作りでリーズナブルなお菓子が沢山あるお店です!ギャラリーもあり、3/31(金)迄「虹花いろは 切り絵展」が開催されていますよ。

イートインカフェMaiar
〒420-0839 静岡県静岡市葵区鷹匠2-2-5
http://www.maiar.info/
マイアーs

私のお店に掲示しても良いですよ~という店主さんいらっしゃいましたら、是非SPACまでお声掛けください!

blog 最終更新日:2017年2月17日 4:09 PM

富士山型(?!)の劇場が出現!メインヴィジュアルができるまで

「ふじのくに⇄せかい演劇祭2017」のメインヴィジュアル、もうご覧になりましたか?(トップページのスライドでも使っています♪)

富士山の頂からどこまでも広がる裾野が、やがて世界中の人々が集う劇場になっていく…
まさに「ふじのくに⇄せかい演劇祭」という名称そのものを形で表したオブジェと言えるでしょう。
また、昨年の演劇祭で『イナバとナバホの白兎』を上演した駿府城公園の仮設劇場をも彷彿とさせます。

演劇祭2017メインヴィジュアル1

こちらのオブジェを制作したのが、sandscapeの黒田武志さんです。
http://sandscape.biz/

黒田さんは、これまで数々の劇団のフライヤーやパンフレットのデザインはもちろん、維新派の『キートン』(2004)や『台湾の灰色の牛が、背のびをしたとき』(2010)の舞台美術を手がけるなど、演劇との接点が非常に深いデザイナーです。

今回、『黒蜥蜴』(2016)のポスター・フライヤーをデザインしていただいたご縁で、メインヴィジュアルをはじめ、演劇祭ロゴやガイドパンフレット・ポスターなど、広報物全体のアートディレクションをお願いすることとなりました。

人形制作は、アーティストの渡部真由美さん。
このために「ギリギリ」の赤い人達を造ってくれました。

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さて、改めてこのオブジェですが…
写真で見えている入口の反対側には搬入口があったり(しかも“搬入口”なので正面より間口が広いんです!)、階段が付いていたり、内部は円型に空間が空いていたり…細部に至るまで劇場そのもの!

棒を切り、塗って、組み立てて…約1ヶ月かかったそうです。

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ちなみに、丸太で工事現場の足場を組むのと同じ要領で組み立てていくそうで、ちゃんと構造計算すれば、この劇場、リアルサイズで建てられるのではないでしょうか?!

演劇祭会期中、静岡芸術劇場のロビーに展示しますので、どうぞお楽しみに♪

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ふじのくに⇄せかい演劇祭2017
2017年4月28日(金)~5月7日(日)
静岡芸術劇場・舞台芸術公園・駿府城公園 ほか
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