オリヴィエ・ピィのグリム童話

『愛が勝つおはなし ~マレーヌ姫~』

© Christophe Raynaud de Lage/ Festival d’Avignon

Program Information

ジャンル/都市名 音楽劇/アヴィニヨン
公演日時 5/2(土)14:00・3(日・祝)11:00
会場 静岡芸術劇場
上演時間 60分
上演言語/字幕 フランス語上演/日本語字幕
座席 全席指定
作・演出・音楽 オリヴィエ・ピィ
製作 アヴィニョン演劇祭
© Christophe Raynaud de Lage/ Festival d’Avignon
© Christophe Raynaud de Lage/ Festival d’Avignon
© Christophe Raynaud de Lage/ Festival d’Avignon

作品について

グリム童話の世界が魅惑的なオペレッタに

詩的な言葉と音楽で彩られる「オリヴィエ・ピィのグリム童話」、待望のシリーズ最新作は全編を歌で紡ぐオペレッタ。美しく快活なマレーヌ姫はとなりの国の王子とひかれあうも、王様の反対にあい、7年間、塔の中にとじこめられる。やっとの思いで塔からでた姫の前に広がっていたのは、争いで荒れはてた大地だった…。国は?家族は?となりの国の王子はどこに!?愛と行動力にあふれる姫がたどりついた先には。ノスタルジックなメロディーが音楽家でもある俳優たちの豊かな歌唱とピアノ、チェロの音色に乗り、遊び心あふれる舞台美術はドラマチックに物語をはこぶ。子どもも大人も心つかまれる、オリヴィエ・ピィの魔法がここに。

あらすじ

マレーヌ姫はとなりの国の王子とひかれあうが、父である王は国をより豊かにするため、となりの国との戦争をおこなうと宣言する。王子と結ばれればきっと平和がおとずれる!そんな願いもむなしく、王がすすめる結婚を拒んだマレーヌ姫は、塔の中に閉じ込められてしまう。7年後、やっとの思いで外へ出た姫の前に広がっていたのは、戦争で荒れ果てた大地だった。王子への揺るがぬ愛は、姫を再び運命の人の前へと運び…。

演出家プロフィール

© Christophe Raynaud de Lage

オリヴィエ・ピィ Olivier PY
劇作家、演出家、俳優。1965年、南仏グラース生まれ。87年にパリ国立高等演劇学校(コンセルヴァトワール)に入学、並行してカトリック学院で神学と哲学を学ぶ。95年、アヴィニョン演劇祭で上演時間24時間という異例の作品『常夜灯―果てしない物語』の7日間連続上演を敢行し、一躍脚光を浴びる。98年から2007年までオルレアン国立演劇センターの芸術監督、同年3月から12年までパリ・オデオン座の芸術総監督を務める。13年、アヴィニョン演劇祭のディレクターに就任。SPACではこれまでに『イリュージョン・コミック―舞台は夢』、『若き俳優への手紙』(08年)、「グリム童話」3部作(09年)、「オリヴィエ・ピィの『<完全版>ロミオとジュリエット』」(12年)、ピィ自身によるシャンソンライブ『ミス・ナイフ、オリヴィエ・ピィを歌う』(14年)、新演出版『グリム童話~少女と悪魔と風車小屋~』(16年)を上演。現代フランスを代表する劇作家・演出家のひとり。

演出ノート

『愛が勝つおはなし ~マレーヌ姫~』演出ノート

オリヴィエ・ピィ

 グリム童話をもとに戯曲を書くのは、この『愛が勝つおはなし ~マレーヌ姫~』で四度目になります。グリム童話は必ずしも子ども向けに書かれたものではなく、初版ではそれに対する批判もありました。それでも、あるいはだからこそ、死・欲望・絶望といったテーマに挑む力強い演劇作品になりうるのです。グリム童話は教訓ではなく、通過儀礼(イニシエーション)です。それを子どもたちに向けて書きなおすことで、予定調和のルールを尊重しつつも、暴力や意味の喪失、生々しい危険を含んだありのままの世界を問うことができるのです。
この『愛が勝つおはなし』は、「転落したあと、罪をあがなっていく」といったおとぎ話の一般的構造、そしてとりわけ『マレーン姫(マレーヌ姫)』の物語をもとにしています。主人公のマレーン姫は勇気と決断力のある少女のモデルを提供してくれます。
 この作品の文体は、脚韻のないアレクサンドラン[一行十二音節で書かれたフランスの伝統的な韻文の形式]をつかっている点ではかなり文語的ですが、同時に非常にシンプルなものです。一行一行が詩的な諺のようになっています。言葉を聞き、物語を追っていくと、機械のような構造が見え、その構造の美しさも感じとることができます。
 『愛が勝つおはなし』の主題は戦争と破壊です。「少女」が自分の欲望を譲らなかったために、父親によって七年のあいだ塔に閉じ込められます。塔から出たときには、少女が知っていた(子どものときの)世界はすっかり破壊されています。傷を負い、仕事を失い、搾取され、移民となった不運な人々と一緒に、少女はさまよい、演劇と出会って、失ったプライドを取り戻します。一方、少女が愛した「王子」は、戦闘で顔に傷を負ったと信じこまされて顔を隠しますが、やがて初恋の相手である少女と再会し、顔が変わっていないことを教えられます。この世界の暴力性に耐えられず、苦しみつづける王子です。男性優位主義的(マッチョ)な暴力を憎む「庭師」と、兵士として戦争に参加することを夢見る「皿洗いの少女」の二人は、ジャンルの規則を転倒したところに現れる主人公たちのアルターエゴです。
 そして「将軍」は世界の美しさに気づけない政治家であり、形而上学的な実験を重ねる悪魔的な存在です。
 この作品は小さなオペレッタの形式になっています。独白が歌になったシェイクスピアのミニチュア、といってもいいでしょう。だから、俳優たちは歌を歌い、ピアノなどの楽器を演奏しなければなりません。上演時間が1時間15分を越えないよう、時計仕掛けの正確さが求められます。スクリーンとなった舞台装置のなかで、人形劇に近い演技によって、これまでの私の作品よりも深い心理を描き出します。
 明日の世界をつくっていく真理は自分自身の欲望だということ、そしてそれ以外にないということ。『愛が勝つおはなし』は、子どもがこのことを理解していく通過儀礼(イニシエーション)です。子どもは大人たちの暴力を目の当たりにし、それについて判断を下すことを学びます。そして絶望せずに「悪」と対話するのです。これが「はじめてのお芝居」だったとしても、お子さんはこの舞台を通じて、いつも頭の片隅にあった問いへの答えを見つけてくれるでしょう。戦争も死も、欲望も政治も芸術も、ちゃんと話す機会はなかなかなくても、子どもたちにとっては日常の一部です。そして「大人になると破壊されてしまう世界をもう一度マジカルなものにしてくれる芸術、それが演劇なのだ」ということを、子どもたちに伝えたいのです。

2018年9月
(翻訳:SPAC文芸部 横山義志)

トーク

◎プレトーク:各回、開演25分前より
◎アーティストトーク:5/2(土)終演後

出演者/スタッフ

作・演出・音楽:オリヴィエ・ピィ
舞台美術デザイン・衣裳・メイク:ピエール=アンドレ・ヴェーツ
照明:ベルトラン・キリー
音楽構成:アントニ・シコプーロス

出演:ダミアン・ビグルダン、クレマンティーヌ・ブルゴワン、ピエール・ルボン、フラナン・オベ、アントニ・シコプーロス

舞台美術制作:アヴィニョン演劇祭アトリエ
衣裳制作:リモージュ歌劇場アトリエ

製作:アヴィニョン演劇祭
共同製作:リモージュ歌劇場、ローザンヌ歌劇場、南アキテーヌ国立舞台、ジョルジュ・レイグ劇場

助成:Spedidam(第73回アヴィニョン演劇祭に対し)
協力:オデオン座
レジデンス:アヴィニョン演劇祭 ラ・ファブリカ

第73回アヴィニヨン演劇祭にて2019年7月5日に制作されました。

字幕翻訳:西尾祥子
通訳:平野暁人

注意事項

◎静岡芸術劇場には、未就学児と一緒にご観劇いただける親子室がございます(先着3名様)。未就学児との観劇をご希望の方は、お問い合わせください。
◎5/2(土)の公演は、グランシップ託児サポーター(ボランティア)による無料託児サービスがございます。ご希望の方は、4/19(日)までにSPACチケットセンターへご連絡ください(対象:2歳以上の未就学のお子様)。

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