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blog 最終更新日:2018年5月24日 7:12 PM

【シアタークルーレポート】『マハーバーラタ』

今年の演劇祭後半の目玉だったSPAC祝祭音楽劇の頂点『マハーバーラタ』。2014年には世界最高峰の演劇の祭典「アヴィニョン演劇祭」の公式プログラムとして招聘を受け、伝説の会場「ブルボン石切場」で上演。約1,000席の客席を連日満席にし、スタンディングオベーションの嵐を受けました。
その後も各地で上演を重ね、さらに深化した本作が、2015年以来3年ぶりに静岡・駿府城公園に登場。待ちわびたSPACファンをはじめ多くのお客様が詰め掛け、4公演全て満席となり、まさにせかい演劇祭の大トリを飾るにふさわしい盛り上がりとなりました。
本作の公演初日(5/3)の模様を、シアタークルーのペンネーム「IVY」さんが寄せてくださいましたので、紹介します。

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5月2日。『マハーバーラタ』(以下、『マハ』と略す。)の初日を明日に控えての大雨。宮城さんは雨男らしいので、流石といえば流石だが…明日の天気はどうだろうか…。

そして翌日。晴天ではないが雨は降らないとの予報。一安心。『マハ』初日のこの日はお昼に芸術劇場で『シミュレイクラム/私の幻影』が上演された。私はこれを観た後、『マハ』のために駿府城公園へと移動。私以外にも多くの人が『マハ』を観るため駿府城公園へ行く模様。

16時30分。『マハ』の開演は19時頃だが早めに来たのはフェスティバルgardenでの広場トークを聞くため。リラックスした雰囲気の中、安藤裕康さん、金森穣さん、宮城聰さんの3人で「世界で勝負する舞台芸術とは」というテーマでトークが行なわれた。テーマがテーマだけに演劇に興味のある私にとっては貴重なお話が聞けた。

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特に面白いと感じたのは金森さんと宮城さんで世界に対する考えや戦略が正反対だったこと。世界で戦うお二人はまた日本で数少ない芸術監督でもあるが、この違いは非常に興味深かった。

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そして気付けば一時間が経過しトーク終了。

18時15分から同じくフェスティバルgardenでプレトーク。『マハ』に関しては多少の知識があったが、もちろんこれにも参加。プレトーク終了後、みんな仮設劇場に向けてぞろぞろと動き出し、チケットに記載された整理番号順に整列。

18時40分。お客様が今か今かと入場を待ちわびるなか、ようやく客席開場。私の番号は80番台というかなりいい番号。いつもどおり、宮城さんをはじめSPACのスタッフの方たちに温かく迎えられ客席へ。

野外さらに円形(ドーナツ型)という特殊な舞台。舞台の雰囲気も演劇というよりお祭り会場と表現したほうが近く、いつもとは違った演劇体験になるなと感じた。最初はパイプ椅子に座ったが、最前列の桟敷席が空いていることに気付いた私。せっかくなので最前列のど真ん中に座った。

お客様の入場が終わり、演奏開始。演奏に注目していると、俳優さんたちが列になって登場。この登場の仕方が非常に幻想的というか非日常を強く感じさせ、私はこの登場で『マハ』の世界に引き込まれてしまった。

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この劇では衣裳や小道具が白い折り紙を連想させるようなものだったり、また、この日は何かの綿毛(ポプラの綿毛らしい)がひっきりなしに舞い散っており、さらに劇を幻想的なものにしていた。

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途中には演奏タイムやCMなどが入り、どこかいつものSPACを思わせるような笑いも。そんなこんなで気がつくとあっという間にエンディング。最後はナラ王とダマヤンティ姫がみんなに祝福され大演奏で終了。

360度のリング状舞台ということで、いろんなところから俳優さんが登場し、そのたびに客席からは歓声があがったり、ネタでは笑い声が聞こえたり、最後は大拍手。帰るお客さんの顔を見るとみんな大満足の様子。

360度の大パラノマ、迫力ある生演奏、動きと語りどれも素晴らしく。まさに、SPAC祝祭音楽劇の頂点と呼ぶのにふさわしい作品だった。

シアタークルー ペンネーム IVY

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『マハーバーラタ』は、今秋フランスで開催される日本博「ジャポニスム2018」の公式プログラムとしてパリのラ・ヴィレットで上演されます。さらなる深化を続ける本作とSPACを、引続き応援よろしくお願いいたします!

★☆★

◆公演日時
2018年11月19日(月)~25日(日)
◆会場
ラ・ヴィレット(仏) https://lavillette.com/

※「ジャポニスム2018」の詳細はこちら
https://japonismes.org/

blog 最終更新日:2018年5月24日 6:02 PM

【シアタークルーレポート】『民衆の敵』

「ふじのくに⇄せかい演劇2018」が閉幕して2週間がたちました。おかげ様で今年は完売の公演も多く、例年以上の盛り上がりを感じました。

そんな今年の演劇祭における最大の目玉は、ヨーロッパ演劇界きっての人気演出家トーマス・オスターマイアーの『民衆の敵』ではなかったでしょうか?イプセンの社会劇をアクチュアルな問題作として立ち上げた本作。バンドの生演奏やペンキを使っての場転など随所にスタイリッシュとも言える演出が見られましたが、中でも町民集会の演説シーンで観客が町民に見立てられ、意見を求められるという演出は、劇中における「とある田舎町の公害問題」という以上に様々な問いを我々に投げかけたと感じます。

本作のレポートを、シアタークルーの野秋昂太さんが寄せてくださいましたので、ご紹介します。

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温泉専属医であるトマス・ストックマン博士は、温泉地の源泉が汚染されていることに気付き告発しようとする。しかし、兄の市長は町の経済のためにこの事実を隠そうとする。博士は兄に対抗するため集会を開くが、その内容はマスコミや周りに流される、多数派の市民を批判する内容だった。

原作では、上記のように社会への問題提起をする作風であるため、重々しいイメージを受けます。 しかし、今回の劇では役者のセリフやしぐさが笑いを誘うものが多く、社会派作品でありながら、エンターテインメントとしても楽しめる作品になっていました。

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上記の点や、テーマに沿った音楽の使い方も素晴らしい演出でしたが、何よりも一番観客を引き込んだのは、中盤のストックマン博士の演説です。

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原作では博士が民主主義を批判し、集会で集まった民衆から怒りを買い孤立するシーンになります。
しかし演出家のトーマス・オスターマイアーは、博士の主張が正しいかどうか、その場にいる観客に直接答えさせる試みを行いました。
それに対して思った以上に発言する観客が多く、演劇というより激しい議論のような雰囲気で、大いに盛り上がりました。
発言の中には、水俣病が起こった国として環境汚染に不安がある、博士の言い分には賛同できないがそうさせたのは周りが追い詰めたせいと、様々な意見が出ました。中には計画の見通しの甘さや、今後の調査内容について激しく追及したときは、会場に一番の笑いと拍手が起こりました。
私は二日間とも見ましたが、上記の試みから新鮮な気持ちで楽しむことができました。公害や原発事故が起こった日本だからか、環境問題の観点から博士への賛同の声が上がったのは興味深かったです。もし日本以外の国だったらどういう意見が飛び出るのか?時代や国によってそれぞれ違った発見ができそうです。

シアタークルー 野秋昂太

blog 最終更新日:2018年5月6日 11:31 AM

【シアタークルーレポート】開幕式

「ふじのくに⇄せかい演劇祭2018」も残すところあと1日となりました!
どの公演も本当に多くのお客様がご来場くださり、例年以上の盛り上がりを感じる演劇祭となりました。
あまりに濃密だったので、開幕式が遠い昔のように感じてしまうほどですが…クルーのかさまみちよさんが、開幕式の模様をレポートしてくださいましたので、ご紹介します♪
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シアタークルー1年目のかさまみちよと申します。
今回私がうけたミッションは、開幕式の様子、舞台『寿歌』の前後、フェスティバルbarの様子をビデオカメラに収める、ということでした。

開幕式は野外劇場前広場で行われました。
私も初参加なのでドキドキわくわくしていました。

はじまる前に、「お茶でもどうぞ」という呈茶サービスがありました。
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静岡県のマスコットキャラクター「ふじっぴー」が、宮城聰SPAC芸術総監督と記念撮影をしています。
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簡易座布団を受け取ったお客様が、野外劇場前広場に座りはじめました。
そのお客様たちの目を最初に楽しませてくれたのはマスコットキャラクターペア、ふじっぴーと、すぱっくん。
すぱっくんが数歩あるくとふじっぴーがついてきて、ふりむくと止まる。
また歩くとついてきて、ふりむくと、止まる

また…
その様子にお客様も一緒に笑ってらっしゃいました。
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ふじっぴーは人気者です。

そして開幕式はスタートしました!!
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最初に、宮城さんからのご挨拶がありました。

文化にはいろいろな「ものさし」がある、「ものさし」がこんなに色々あることを楽しむ。
こんなものさしもあるんだ、という「ものさし」を増やしていく面白さについて話されていました。

挨拶が終わる頃、しげみの向こうからにぎやかな音がして…茶っきり節が!!
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『マハーバーラタ』に出演するSPACの俳優さん14名によるオープニングパフォーマンス「喫茶去(きっさこ)」始まりました。喫茶去(きっさこ)とは現代用語にすると「お茶でもどうぞ」ということなのだそうです。
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澄んだ歌声のあとに全員で太鼓(ジャンベ)の演奏。
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お客様も大喜び。
一緒にひざで拍子をとられている方もいらっしゃいました。

そして…スペシャルゲスト
静岡県の川勝平太静岡県知事が衣裳を着て中国の高僧として登場されました。
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中国は宋の時代、仏教の書に書かれた伝説の高僧、趙州和尚の言葉を元に構成したものです。
徳の高い和尚が訪れた客人には誰でも喫茶去(きっさこ)「さあお茶でもどうぞ」と招いたことから「ふじのくに⇄せかい演劇祭」、さらには新茶の香り高い静岡にお越しくださいました皆さまへの心からの歓迎の気持ちをこのパフォーマンスに込めました。

とのことでした。

次に川勝知事よりご祝辞を賜りました。

貴賤、貧富、職業、いっさい関わりなく誰にでもお茶をふるまった趙州和尚は120歳まで生きたといわれています。お茶を飲みますと健康寿命が長くなる。私たちは茶の都として、すべての人々に対しましておもてなしの気持ちを表すべく、この喫茶去(きっさこ)を始演式としてお見せした次第です。我々は演劇、スポーツを通して世界を平和にしていこうではありませんか。

と、話されました。

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開会式が終わると、お客様はチケットに書かれた整理番号順に広場前に並びました。

皆さん、わくわくした顔をされています。
日が少しずつ暮れはじめた頃、開場時間がきて入場となりました。
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開場や開演時間も演出上計算されつくしているのだそうです。
そして『寿歌』舞台がはじまりました(寿歌については長くなるので別レポートでご紹介します)。

舞台終了後は、フェスティバルbarが開催されている休憩所「カチカチ山」へ行きました。
色々美味しそうなものが販売され、お客様たちは、舞台の感想などを話したり、余韻に浸っているようでした。
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シアタークルー かさまみちよ

blog 最終更新日:2018年5月4日 12:10 PM

【シアタークルーレポート】『寿歌』

【クルーレポート】『寿歌』

「ふじのくに⇄せかい演劇2018」の前半のハイライトとも言える『寿歌』。
“核戦争後の荒野”という設定とは相反するような、木々のざわめき・鳥の声・月の光に囲まれた野外劇場「有度」で上演された本作は、美術家・カミイケタクヤが手掛けた装置とも相まって、何とも言えない不思議な世界観で観客を魅了しました。
本公演のレポートを、シアタークルーの越智良江さんが寄せてくださいましたので、ご紹介します。

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ふじのくに⇄せかい演劇祭2018!
シアタークルーで入らせていただきました、越智良江です。
今回、私は舞台芸術公園 野外劇場「有度」で公演されました『寿歌』のお手伝いで入らせていただきました。

『寿歌』が行われるのは、舞台芸術公園 野外劇場「有度」。
私はこの舞台芸術公園は初めてで、昼は日差しが降り注ぎ、鳥の声がして、歩いているだけでとても気持ちよく。
演劇しかない時間と、演劇しかない空間に、とてもとても幸せでした。
こんなところで『寿歌』が行われるとは・・・!とゲネをとても楽しみにしておりました。

しかし・・・!昼とは打って変わって、ゲネが行われる夜はとても寒い・・・!!!
今回『寿歌』は夜公演でしたが、それは日没にあわせて上演されるためでした。

スタッフさん、俳優さんは分単位で時間と格闘され、そのこだわりにとてもとても感銘しましたし、そのおかげで野外劇場ならではの「特殊効果」と共に『寿歌』のゲネは行われました。

だんだんと影を落としていく山々と、劇場の空天井からは月が見え、その光の中で繰り広げられる「ええかげん芝居」は、本当に切なかった。
こんなに笑えてええかげんなのに、そのええかげんさが更に切なく見えるんです。
ゲサクの背中に空いた穴のようにスースーと、笑いも賑やかさも、暗い山の奥へ、高い高い空へ消えていくようでした。

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私は『寿歌』がとても好きで、今回、この公演クルーを希望させていただきました。
が、ずっとずっと、分からないまま、不思議だったところがありました。

それは、キョウコの 櫛 です。

キョウコが髪をといていると、櫛が折れてしまうんです。
が、旅先で出会った不思議な男・ヤスオは、物品引き寄せ術という特技を持っていて、何か元の物があって、ポケットに入れて叩けば、いくつもその物を取り出すことが出来る、いう能力でした。

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キョウコの櫛をヤスオはポケットに入れて新しい櫛を出してくれます。
最後のシーンでは、ゲサクがキョウコに「櫛をもらったお礼に干しいもを渡してこい」と、後を追わせるという、あの櫛。

ずっととても不思議だった。
だって、キョウコの櫛は折れたんです。となると、ヤスオが「キョウコさんに」と出してくれたこの櫛も、折れているのではないのか?

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だって、ヤスオのポケットから、「ぞろぞろ」で出てくるのは、ポケットに入れたそのものの複製なので、折れた櫛をポケットに入れれば、折れた櫛が出てくるはずではないか。

なのにお芝居では、元通りの、折れる前の櫛であるかのように、話は進むのです。

これがどうしても分からなくて、

あの櫛は折れてるのか?
三人には折れたのが見えてないのか?
いやいや、あのポケットは引き寄せの術だから、新品の新しいのがやってくるのか?
そんなはずはないぞ。

とぐるんぐるんしていました。

それが、今回、初めて分かりました。

「櫛が折れる」のは「苦」と「死」が折れること。解放されること。

良いことの象徴なのです。ヤスオと出会って櫛が折れた。
彼は人類の罪を背負っていく象徴でした。
キリストが人類の罪を背負って亡くなったように、救いでした。

それが最後に、新品の新しい櫛が登場し、また二人の手に戻ります。
「苦」と「死」が、最初に戻ってしまったんです。
「苦」と「死」をまた手に、二人は歩いていかなければならない。

回り、回る、終わりの無い旅。
まさにこの無限の美術セットがよくよく表していて、ああ・・・なるほど、と全て繋がったときに鳥肌が立ちました。

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もちろん、この解釈は私がしたのですから、他の方は違う感想や、よく分からないままにしておく面白さもあります。
人それぞれの感想が出るのも作品の魅力だなぁと思います。

ラストのシーンでは、櫛を再び手にしながら、それでもリヤカーを引いて進んでいく二人の姿に。
でもきっと、マリアのように身ごもったキョウコのお腹に希望を。
拍手は長く長く続きました。

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公演は両日満席で、終演後の皆様のお顔を見ると、作品が分かります。
こういうのが一番に感じられるのも表周りスタッフの特権ですね。

「寿歌」は難解でありますが、分かりやすい芝居の楽しみとまた違って、「あれはどういう芝居だったんだろう」と何かしらずっと心に留まる作品もとても面白いものだなぁと思います。

静岡の自然と、お芝居から力をもらって、私も、リヤカーを引いて歩いていける気がします。

シアタークルー 越智良江

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静岡公演は30日(月・祝)に千穐楽を迎えましたが…、
実は、ゲサクとキョウコの旅はまだまだ続くんです!
是非、謎の男・ヤスオのように、ゲサクとキョウコの旅に一瞬寄り添っていただけると嬉しいです!

★☆★ 今後のツアー予定 ★☆★

<熊本公演>
■日時:2018年5月18日(金)14:00、19日(土)14:00
■会場:ながす未来館
■料金:一般2,000円、高校生1,500円(中学生以下無料)
■問い合わせ:ながす未来館 0968-69-2005

<福岡公演>
■日時:2018年5月26日(土)14:00 、27日(日)14:00
■会場:北九州芸術劇場小劇場
■料金:一般3,500円 高校生〔的〕チケット1,000円
■問い合わせ:北九州芸術劇場 093-562-2655

<茨城公演>
■日時:2018年6月8日(金)19:00
■会場:ひたちなか市文化会館小ホール
■料金:一般2,500円 U22 1,200円 
■問い合わせ:ひたちなか市文化会館 029-275-1122

<愛知・知立公演>
■日時:[劇場と子ども7万人プロジェクト]学校招待公演/2018年6月13日(水)~15日(金) 一般公演/6月16日(土)14:00
■会場:パティオ池鯉鮒(知立市文化会館)花しょうぶホール
■料金:一般2,500円 25歳以下1,000円 
■問い合わせ:パティオ池鯉鮒 0566-83-8102

<愛知・小牧公演>
■日時:[劇場と子ども7万人プロジェクト]学校招待公演/2018年6月21日(木)・22日(金) 一般公演/6月23日(土)14:00
■会場:小牧市市民会館
■料金:一般2,500円 U25 1,000円 
■問い合わせ:こまき市民文化財団 0568-71-9700

blog 最終更新日:2018年5月5日 10:33 AM

【レポート】ふじのくに⇄せかい演劇祭2018レポート(前半:4月28日~30日)

「ふじのくに⇄せかい演劇祭2018」4月28日に開幕し、早くも前半が終了しました!
舞台芸術公園と静岡芸術劇場を会場に、4作品がならんだ3日間を、写真とともにレポートします。

 
開幕初日、お天気にも恵まれ、野外劇場前広場では『寿歌』開演の前に「開幕式」が行われました。
開幕式恒例、「始演式」(野球の「始球式」になぞらえたミニパフォーマンス)では、『マハーバーラタ』に出演するSPAC俳優14名と、スペシャルゲストとして川勝平太静岡県知事が出演されました。

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▲「唄はちゃっきりぶ~し~♪」唄とお囃子で広場に登場する俳優たち。(『ちゃっきり節』作詞:北原白秋)
撮影:平尾正志

始演式で上演したのはオリジナル台本の『喫茶去(きっさこ)』。中国の伝説の高僧が、誰でも「喫茶去=まあ、お茶でもどうぞ」と招き入れたことになぞらえ、演劇祭、ひいては新茶香る静岡への歓待の気持ちを込めました。大勢のお客様とともに演劇祭が賑やかに開幕しました!

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撮影:猪熊康夫

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撮影:猪熊康夫

 
開幕式に先立ち、この日最初に上演されたのは、ジャン・ランベール=ヴィルド演出・出演による『リチャード三世 ~道化たちの醒めない悪夢~』(28~30日)。BOXシアターの密な空間に、ステファヌ・ブランケのサイケデリックな舞台美術がお目見え。

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撮影:平尾正志

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撮影:平尾正志

観客から手が届きそうな距離で、縦横無尽に駆け回るリチャード!観客も劇中の「市民」として巻き込まれ、次々に繰り出される舞台美術のからくりに驚かされながら、アッというまの2時間でした。

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▲観客に”甘~いお菓子”を配るリチャード。
撮影:平尾正志

 
宮城聰演出の『寿歌』は28・30日、夕暮れとともに開演。野外劇場「有度」の客席は満員の観客で埋め尽くされました。

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撮影:猪熊康夫

奥には鮮やかな新緑の木々、舞台には無限にループする道、そして人工物が散乱する地面。そこであっけらかんと交わされる、ゲサク、キョウコ、ヤスオのボケ、ゆるい突っ込み!観客からしばしば笑いが起き、核戦争後の世界という設定でありながら、リアルで愛おしくなるような舞台で会場は一体感に包まれました。

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撮影:平尾正志

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撮影:平尾正志

 
29・30日に静岡芸術劇場で上演されたのは、トーマス・オスターマイアー演出の『民衆の敵』。

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撮影:平尾正志

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撮影:平尾正志

クライマックスの演説シーン、観客はその聴衆として意見を求められます。会場が静まり返るのでは・・・という予想に反して、客席からは次々に手があがり、「日本では水俣病での体験がある」「事実を指摘するだけでなく打開策を示すべきだ」など、作品に沿いながらも実感のこもった意見で会場が沸きました。

30日には、オスターマイアー氏を囲んだスペシャルトークも開催。
こちらも次々と質問や意見が飛び出し、皆さん真剣にメモを取っている姿が印象的でした。

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撮影:猪熊康夫

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撮影:猪熊康夫

 
28~30日に舞台芸術公園の「楕円堂」で4公演が上演されたのは、クロード・レジ演出の『夢と錯乱』。開演前に咳止めの「飴」が配られるなど、静寂を求められるのもレジ作品ならでは。「別れの挨拶」と言うにふさわしい、そしてもう二度と新作を観ることができないかもしれない寂しさに襲われる、そんな舞台でした。
『夢と錯乱』チームはこの後、京都での公演が待っています。

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▲『夢と錯乱』のフランスチーム。バラシを終えてこれから京都へ。右から2人目がヤン・ブードーさん。

 
さて、いよいよ明日3日から後半の4作品が始まります!前半とはまた異なる演劇の広がりを感じて頂けるプログラムです。まだチケットがお買い求めいただける日程もございます。皆さまのご来場をお待ちしています。

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▲『シミュレイクラム』の小島章司さんとダニエル・プロイエットさん。1日に劇場入りしリハーサルが始まった。

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▲「駿府城公園で待ってまーす!」開幕式に出演した『マハーバーラタ』のSPAC俳優たち(一部)。
撮影:平尾正志

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