太田垣 悠 (SPAC制作部、『腹話術師たち、口角を飛ばす』担当)
腹の奥底のことを話す術?
突然ですが、もしあなたが「腹話術の人形を1体持てる」と言われたら…その人形はどんな姿でしょうか?
その人形にどんな事をさせてみたいですか?
色々と妄想が膨らんでしまいますが、普段自分では出来ないようなことや、言えないような少しダークな事を人形にさせてみたい、と想像する方も多いのではないでしょうか?
私もあんな事やこんな事を…。
そして、自分では言えない本音を人形に語らせる、なんてことも… ?!
5月6日(土)と7日(日)に静岡舞台芸術劇場で上演される、ジゼル・ヴィエンヌの『腹話術師たち、口角泡を飛ばす』は、私たちの潜在意識に隠れている欲望や衝動を、じっくりと、時にはガクガクと揺り動かします。
2014年の本演劇祭で、観る者に衝撃を与えた『Jerk/ジャーク』から3年。SPAC芸術総監督の宮城が「学級委員タイプの超変人(笑)」と称する、鬼才ジゼル・ヴィエンヌが再び静岡にやってきます!
彼女の舞台を観ると、「隣の異次元」に旅して帰ってきたような印象を受けます。日常から一歩はみ出した世界観の中で嘘なく人間を描く彼女の作品には、人間の泥臭さ、そこに生まれる痛いくらいの熱と儚さ、そして滑稽さを同時に体感できる不思議な瞬間があるのです。
この感覚にハマる人続出!
今回の作品は、アメリカ・ケンタッキー州で実際に毎年開催されている腹話術師の国際会議を、入念にリサーチして創作されました。
登場人物は様々なバックグラウンドを持つ腹話術師たち9人+その人形たち9体。計18の人格が舞台上に白昼夢のような空間を作り上げていきます。
「人間が人形を操る」という当たり前の絵図から始まるのですが、人間が自分たちのディープな本音を人形たちに代弁させ始めることで、その様は徐々に奇妙にねじ曲がっていきます。
欲望と本音の代弁者が出てきた時の人間の行く末は…?
演じるのは、『Jerk』での圧倒的な一人芝居が多くの記憶に残るジョナタン・カプドゥヴィエル。
そして技巧派ジョナタンをしのぐほどの驚愕のテクニックと感性で、世界トップレベルを誇るドイツの人形劇団「パペットシアター・ハレ」のメンバーと、そのメンバー以上にユニークな人形たちです。
1mを超えそうな、まさに人間の分身のような人形から、カマキリやクッション、カート・コバーン(ニルヴァーナのボーカル)人形までが何やら色々と語り始めます。
そんな彼らが海を渡ってここ静岡に辿り着くまで、いよいよ2週間と迫りました!
タブーのない人間の本音に触れたい方、揺さぶられたい方必見!!
最高に人間くさいパペットショーをお楽しみください!
舞台裏でスタンバイ中のカート・コバーン。お疲れのご様子..。
==========
腹話術師たち、口角泡を飛ばす
構成・演出:ジゼル・ヴィエンヌ
作:デニス・クーパー(出演者との共作)
5月6日(土)15:00開演、5月7日(日)13:00開演
静岡芸術劇場
詳細は こちら
==========