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メッセージ

「せかい」はあなたの隣に住んでいる。

劇場という場所は都市に似ています。
俳優は舞台の上で、初めて出会う誰かに向けて自分の存在をひらく。観客は俳優という他者を覗き込み、たまたま隣り合った人たちと共に物語を立ち上げる。その日に偶然、同じ空間に集まった見知らぬ者同士が「今ここ」ではない世界を想像し、心と肉体を共に震わせる。

本当は似ているというより、似ていてほしい、と願っているのです。劇場が都市に。そして都市が劇場に。目を伏せて乗り込む電車で、互いに聞こえないふりをする街角で。たまたま隣り合った誰かとの間に、そんな瞬間が生まれたらいいのに、と。

かつて「せかい」は物理的に遠くにある他者でした。でもあらゆる距離が消失しつつある現在、「せかい」は手のひらの上でいつでも見られるのに触れられない他者、そして、すぐそばで暮らしているのに見えない他者になりました。距離が近いほど、自分とは異質な存在と折り合い、共存することは難しくなります。隣人同士の分断は深まり、攻撃は激しさを増すばかりです。わたしたちには資源を奪い合い、正しさを争い合い、相手を消し合う未来しか残されていないのでしょうか。お互いを透明な存在にして、やり過ごすことが平和なのでしょうか。

そんな都市に疲れたら、劇場の椅子に座ってみるのはどうでしょう。わかりあえない孤独を分かち合うこと。共に居ること。共に想像することを諦めないこと。それがユートピアであれディストピアであれ。楽天的すぎますよね。楽天的なフリでもいいと思います。なにせ戦いたい相手は「絶望」なのです。

劇場という場所は、都市に似ていてほしい。都市は劇場に似ていてほしい。だから、今年も演劇祭をやります。わたし/あなたの隣には、いったいどんな「せかい」が住んでいるのでしょうか。

2026年
アーティスティック・ディレクター
 石神夏希

石神夏希(SHIZUOKAせかい演劇祭2026 アーティスティック・ディレクター)

Photo: Makita Natsumi (F4,5)

石神夏希 Ishigami Natsuki
劇作家。国内外で、都市や人々の暮らし、コミュニティのつながりに目を向けた演劇やアートプロジェクトを手がける。ディレクションの仕事として「東アジア⽂化都市2019豊島」舞台芸術部⾨事業ディレクター、ADAM Artist Lab 2019(台北)ゲストキュレーター、静岡市まちは劇場『きょうの演劇』企画・ディレクター(21年度)他。SPACでは、『弱法師』(作:三島由紀夫)、『お艶の恋』(原作:谷崎潤一郎『お艶殺し』)、「ふじのくに⇄せかい演劇祭2024」にて『かちかち山の台所』を作・演出。「SPAC秋のシーズン2025-2026」より、アーティスティック・ディレクターとしてSPAC年間のプログラミングに携わる。

SHIZUOKAせかい演劇祭とは

公益財団法人静岡県舞台芸術センター(SPAC)では、1999年に開催された世界の舞台芸術の祭典「第2回シアター・オリンピックス」の成功を受けて、初代芸術総監督・鈴木忠志のもと2000 年より「Shizuoka 春の芸術祭」を毎年開催。2007年から芸術総監督・宮城聰に引き継がれ、SPACが活動15 年目を迎えた2011年から名称を「ふじのくに⇄せかい演劇祭」に変更しました。2016年より「ふじのくに野外芸術フェスタ」と同時開催し、世界最先端の演劇はもちろん、ダンス、映像、音楽、優れた古典芸能などを招聘。SPACが財団設立30周年を迎えた2025年に、名称を「SHIZUOKAせかい演劇祭」に変更。「SHIZUOKA」と「せかい」が一体(=)となり、隣り合う人々が互いの「せかい」を共有できるハレの場を目指しています。

SPAC-静岡県舞台芸術センター

公益財団法人静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center : SPAC)は、専用の劇場や稽古場を拠点として、俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行う日本で初めての公立文化事業集団であり、舞台芸術作品の創造・上演とともに、優れた舞台芸術の紹介や舞台芸術家の育成を事業目的としています。1997年から初代芸術総監督鈴木忠志のもとで本格的な活動を開始。2007年より宮城聰が芸術総監督に就任し、更に事業を発展させています。演劇の創造、上演、招聘活動以外にも、教育機関としての公共劇場のあり方を重視し、中高生鑑賞事業公演や人材育成事業、アウトリーチ活動などを続けています。13年、全国知事会第6 回先進政策創造会議により、静岡県の SPACへの取り組みが「先進政策大賞」に選出。18年度グッドデザイン賞を受賞、無形の活動が一つのデザインとして高く評価されました。2025年、SPACは財団設立30周年を迎え、これまでの活動を通して磨き上げてきた「人」と「技術」を、今後はさらに企業やコミュニティと連携しながら、福祉・観光など地域の活性や課題解決に活用していきます。

お問い合わせ

SPAC-静岡県舞台芸術センター
〒422-8019 静岡県静岡市駿河区東静岡2丁目3-1
TEL:054-203-5730 FAX:054-203-5732
E-mail:mail@spac.or.jp

[SHIZUOKAせかい演劇祭2026]
主催:SPAC-静岡県舞台芸術センター

[ふじのくに野外芸術フェスタ2026]
主催:ふじのくに野外芸術フェスタ実行委員会

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