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サプリメントとしての肉体

サプリメントとしての肉体

 いま、一体何が「信用できる」情報源でしょうか?
 いわゆるマスコミがかつてより信用されなくなっているのは確かでしょう。でも、それはどうしてでしょうか。マスコミが流す情報が以前より怪しくなったのでしょうか。あるいは2011年の原発事故でマスコミを信用しない人が増えたと言われていますが、それが原因でしょうか。
 僕にはむしろ、マスコミの流す情報にはいまだに何がしかの「権威」があり、その「権威」に、ある種の「におい」を直結させて、反感を感じる人が増えたんじゃないか、と思えます。マスコミが発信する情報の「内容」に疑問を持つ、というよりも、マスコミという存在そのものに反感を持つということです。で、その「におい」とは何かというと、つまりは「いま得をしている連中」のにおい、「既得権層」のにおい、ということになります。権威というのは「いま力がある人たち」がそれを保証しているから権威になるんだ、という側面は確かにありますからね。
 もちろん本来は、情報を発信する者の信用度=「権威」は、「既得権層が支持している」ということとは何の関係もないはずです。どれだけ広く深い取材をしているかとか、事実誤認がないか幾重にもチェックされているかとか、さらには「いま力がある人たち」から自由を保っているか、などが、時間をかけて実績として積み重なっていることが情報源としての「権威」のはずです。でも昨今は、「権威」というものはどれもこれも「いま得をしている人たち」を利するもの、と直結される傾向があるような気がします。
 こういう傾向は、言うまでもなく、人間を「いま得をしている人たち」と「いま損をしている人たち」の二種類に分ける思考方法から発しています。この二分法で思考する人が増えたのは、日本の場合、「自分はだんだん貧しくなってきた」と感じる人が増えたことと軌を一にしているでしょう。たぶん日本以外の国でも同じことは起こっているんだと思います。
 さて「権威ある情報」が「いま得をしている人たちを利するためのもの」ということになってしまうと、「いま損をしている人たち」が耳を傾けるのは「権威のない情報」ということになります。すなわち無名の個人が発信している情報、もしくは、有名でも「あぶなっかしい」人、の発信している情報ですね。つまりいまの時代にオピニオンリーダーになろうと思ったら「何者でもない人」か「あぶなっかしい人」であり続ける、という作戦を採らねばならないわけです。矛盾というか皮肉というか・・・いや、やっぱりこれはまずいんじゃないでしょうか?
 となると、いま世の中にとって重要なのは、「人間を敵と味方の二種類に分けないこと」と「物質的ではなく精神的に豊かさを感じる方法を開発すること」だということになります。
  そして「敵と味方の二種類に分けない」ことは、SNS上ではなかなか難しいですが、人の体と向き合うとあながち不可能でもありません。

 ネットに欠落している「肉体」なるものを、いまを生きる人間は、絶えず補給していなければいけない。どうやら我々はそういう時代を生きているようです。 宮城 聰

宮城聰(SPAC芸術総監督)

© 新良太

宮城 聰 MIYAGI Satoshi
1959年東京生まれ。演出家。SPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督。東京大学で小田島雄志・渡邊守章・日高八郎各師から演劇論を学び、90年ク・ナウカ旗揚げ。国際的な公演活動を展開し、同時代的テキスト解釈とアジア演劇の身体技法や様式性を融合させた演出で国内外から高い評価を得る。2007年4月SPAC芸術総監督に就任。自作の上演と並行して世界各地から現代社会を鋭く切り取った作品を次々と招聘、またアウトリーチにも力を注ぎ「世界を見る窓」としての劇場運営をおこなっている。17年『アンティゴネ』をフランス・アヴィニョン演劇祭のオープニング作品として法王庁中庭で上演、アジアの演劇がオープニングに選ばれたのは同演劇祭史上初めてのことであり、その作品世界は大きな反響を呼んだ。他の代表作に『王女メデイア』『マハーバーラタ』『ペール・ギュント』など。04年第3回朝日舞台芸術賞受賞。05年第2回アサヒビール芸術賞受賞。18年平成29年度第68回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。19年4月フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受賞。

ふじのくに⇄せかい演劇祭とは

SPAC‐静岡県舞台芸術センターでは、1999年に開催された世界の舞台芸術の祭典「第2 回シアター・オリンピックス」の成功を受けて、2000年より「Shizuoka 春の芸術祭」を毎年行い、各国から優れた舞台芸術作品を招聘・紹介してきました。SPACが活動15年目を迎えた2011年からは、名称を「ふじのくに⇄せかい演劇祭」と改め、新たなスタートを切りました。
「ふじのくに⇄せかい演劇祭」という名称には、「ふじのくに(静岡県)と世界は演劇を通して、ダイレクトに繋がっている」というメッセージが込められています。静岡県の文化政策である「ふじのくに芸術回廊」と連携しながら、世界最先端の演劇はもちろん、ダンス、映像、音楽、優れた古典芸能などを招聘し、静岡で世界中のアーティストが出会い、交流する――そんなダイナミックな「ふじのくにと世界の交流(ふじのくに⇄せかい)」を理念としています。
2020年は、新型コロナウイルス感染症拡大により中止となり、代わりにオンラインの「くものうえ⇅せかい演劇祭」を実施しました。

SPAC-静岡県舞台芸術センター

静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center : SPAC)は、専用の劇場や稽古場を拠点として、俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行う日本で初めての公立文化事業集団であり、舞台芸術作品の創造・上演とともに、優れた舞台芸術の紹介や舞台芸術家の育成を事業目的とする。1997 年から初代芸術総監督鈴木忠志のもとで本格的な活動を開始。2007 年より宮城聰が芸術総監督に就任し、さらに発展させている。演劇の創造、上演、招聘活動以外にも、教育機関としての公共劇場のあり方を重視し、中高生鑑賞事業公演や人材育成事業、アウトリーチ活動などを続けている。2013年8月には、全国知事会第6回先進政策創造会議により、静岡県のSPAC への取り組みが「先進政策大賞」に選出された。

スタッフ

芸術総監督 宮城聰
事務局長 桜井昌明
アドバイザー 宇佐美稔
芸術局長 成島洋子
制作部 大石多佳子(主任)、丹治陽(副主任)、仲村悠希、髙林利衣、中野三希子、米山淳一、内田稔子、坂本彩子、雪岡純、計見葵、布施知範、西村藍、久我晴子、宮川絵理、入江恭平、北堀瑠香、川口海音、鈴木達巳、込江芳、坂中季樹、戸塚美奈、紅林雅子
創作・技術部 村松厚志(主任)
演出部班 秡川幸雄(チーフ)、山田貴大、降矢一美、山﨑馨、杉山悠里、小川哲郎、森部璃音、土屋克紀、三輪絢香、葉佳欣(研修生)
照明班 樋口正幸(チーフ)、小早川洋也、花輪有紀、盛田穂乃歌、水野ヒカル
音響班 澤田百希乃(チーフ)、林哲也、竹島知里、大朏実莉 / 原田忍
美術班 深沢襟(チーフ)、佐藤洋輔、渡部宏規、吉田裕梨
衣裳班 駒井友美子(チーフ)、清千草、佐藤里瀬、山本佳奈、牧野紗歩
デスク 内野彰子
文芸部 大澤真幸、大岡淳、横山義志
事務局 小田益秀、大石直樹、伊東雄介、金原功、坂田貞美、村田美由紀、山岡ひとみ
運営補助 SPACシアター・クルー
PR  
アートディレクター 太刀川英輔(NOSIGNER)
写真 加藤孝
翻訳 田中伸子
ウェブサイト 株式会社メディア・ミックス静岡
ビデオ フリーライディング

お問い合わせ

SPAC-静岡県舞台芸術センター
〒422-8019 静岡県静岡市駿河区東静岡2丁目3-1
TEL:054-203-5730 FAX:054-203-5732
E-mail:mail@spac.or.jp

[ふじのくに⇄せかい演劇祭2021]
主催:SPAC-静岡県舞台芸術センター
助成:令和2年度 文化庁 国際文化芸術発信拠点形成事業
ふじのくに芸術祭共催事業

[ふじのくに野外芸術フェスタ2021静岡]
主催:ふじのくに野外芸術フェスタ実行委員会
共催:静岡県文化プログラム推進委員会、静岡市

文化庁 静岡県文化プログラム beyond2020 ふじのくに芸術回廊 GOOD DESIGN AWARD
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