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【クルーレポート】『三代目、りちゃあど』

「ふじのくに⇄せかい演劇祭2016」にてそのセンセーショナルな演出とキャスティングで大きな話題となった『三代目、りちゃあど』(オン・ケンセン演出)。本作の観劇レポートをシアタークルーの白木菜々美さんが寄せてくださいましたので、ご紹介いたします。

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 本作品は、鬼才野田秀樹氏がシェイクスピア『リチャード三世』を潤色し、1990年に上演された『三代目、りちゃあど』に、シンガポールの演出家オン・ケンセン氏が新たな息吹を吹き込んだものである。舞台は法廷。被告はリチャード三世。彼の悪事を問い詰め、罪を認めさせようとシェイクスピア本人が検事として対峙する……。出演者は歌舞伎、狂言、影絵芝居など多様なジャンルで高い評価を受ける実力派揃い。「はやく見たい!」とはやる気持ちを抑えて開演を待った。

 開演してからはシンプルな舞台の上で繰り広げられる物語からほんの少しも目が離せなかった。登場人物たちは演じる俳優によって衣装のモチーフやムービング、台詞回しのテイストが異なり、その道のプロフェッショナルの洗練された動きは実に美しいものであった。また台詞は日本語、英語、インドネシア語の3つが入り乱れており、視覚だけでなく聴覚も存分に刺激された。日本語以外の台詞には字幕がつけられていて台詞の意味は理解することができるようになっているが、そういった仕組みの舞台を観るのが初めてだったため、物語序盤は少々苦戦した。しかし慣れてくると、異なる言語からのアプローチによって作品がよりエネルギッシュなものになっているように感じた。

 作中、戯曲の作者であるシェイクスピアと彼が生み出した作品の登場人物たちは言葉を交わし、様々な世界を飛び回る。シェイクスピアの人生を辿る中から見えてくる彼の「リチャード」という名に対する激しい執着といってもいい感情が、極悪人リチャード三世誕生に深く関わっていることが解き明かされていく。人の想像力は無限の可能性を秘めている。それは希望であるが、時として凄まじく凶暴でもある。シェイクスピアの生み出したリチャード三世は、果たして真のリチャード三世だったのだろうか。

SPACシアタークルー 白木菜々美

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本作は、シンガポール国際芸術祭を経て、今秋、東京・熊本・大阪・高知・福岡の5都市を回る全国ツアーが予定されています。さらなる進化を予感させる本作に、今後もご注目ください。

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