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blog 最終更新日:2016年5月6日 3:55 PM

【クルーレポート】『It’s Dark Outside おうちにかえろう』

4/29(金・祝)~5/1(日)にBOXシアターにて上演された『It’s Dark Outside おうちにかえろう』
先日お茶摘み体験のレポートを寄せてくれたシアタークルーの久保田雄介さんが、本作の観劇レポートを送ってくださいました!

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舞台はBOXシアター。
BOXシアター前に広がる風景は富士山!茶畑!青空!と雄大な景色で多くのお客様を魅了していました。私も個人的にこの場所は大のお気に入りで、ベンチに腰掛けボーっとしているだけで心が満たされていく、まさにパワースポットなんです!

開演前には皆さん、シアター前のベンチでゆったりと風景を楽しまれたり、シアター内の待合室で「劇場文化」と呼ばれる冊子を熱心に読み込まれたり、これから始まる演劇の芸術談義に華を咲かせたりと、思い思いの時間を過ごされていました。ワクワクとドキドキが交錯する、高揚感と期待感に満ち溢れた空間がそこにはありました。

『It’s Dark Outside おうちへかえろう』の簡単なあらすじです。
認知症のとある老人がいました。住み慣れた家を離れ、愛用のテントに跨がり(?!)荒野へと旅に出ます。なぜか指名手配をされている様子で、見知らぬ男に追われています。果たして逃げきる事が出来るのか?!男の正体とは?!老人の壮大な大冒険が始まる!!!

どうなるおじいちゃん?!次から次へとおじいちゃんに押し寄せる波乱の展開にドキドキが止まりません!一難去ってまた一難とはこのことを言うんですね!
笑いあり、感動あり、驚きあり、と目まぐるしく展開するストーリーにドンドン引き込まれます。一瞬たりともおじいちゃんを見逃すまいと、瞬きすら惜しいと感じるほどに!
コント?西部劇?映像作品?はたまたパペット劇?たったの3人で!しかもシンプルな美術・小道具で!ここまで表現力豊かな創意工夫が出来るものかと、ただただ驚くばかり。演劇は本当に奥が深いです。
認知症の一種、夕暮れ症候群と呼ばれる老人の放浪癖をユーモアに、ファンタジックに、テクニカルに表現した傑作だったと思います。まさに詩的幻想世界。創意工夫に満ち溢れた、演劇の無限の可能性を目の当たりにしました。言葉を超えて、アートな発想は世界を豊かにするんだと確信!

演劇終了後にはアーティストトークが行われました。作品が素晴らしかったからでしょう、多くのお客様がそのまま参加され、皆さん熱心に「質問カード」に記入されていました。質問の多さにティム・ワッツ氏も驚かれたと思います。お客様もアーティストの言葉を一言も聞き逃すまいと、メモにも力が入ります。一つ一つの質問にティム・ワッツ氏を始め、メンバーの皆さんが丁寧に答えて下さり、作品に対する想いも深まり、新たな発見もあった様子。
ティム・ワッツ氏の言葉の中に「お客様の解釈を大切にしたい。断定はしたくないし、正解もない。お客様が感じられた全てが正解です。」とありました。今後も演劇を観劇していく上で、シンプルながらも大切にしたいメッセージですよね!

アーティストトーク終了後、アーティストと触れ合う時間が設けられました。
こちらもアーティストトーク同様に大!大!大盛況!アーティストの周りにはアッという間にお客様が♬ 一緒に記念撮影をしたり、小道具に触れさせてもらったり、英語で直接質問したり、皆さん思い思いの時間を過ごされて、とっても楽しそうにしていました。アーティストもお客様も笑顔が絶えない、素敵な時間になりました。

若き鬼才ティム・ワッツ氏の今後の活躍から目が離せません!
次回作にも期待しましょう!
ティム・ワッツ氏、素晴らしい観劇=体験をありがとうございました!

SPACシアタークルー 久保田雄介

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本作はかなり早い段階でチケット完売となってしまいましたので、見逃してしまった方も多いのではないでしょうか?実はまだ日本国内で本作を観劇できるチャンスがございます!

★『It’s Dark Outside おうちにかえろう』愛知公演
日時:2016年5月7日(土) 14:00、17:00 / 8日(日)11:00、14:00
会場:愛知県芸術劇場
※詳細はこちら

今年のGWの締めくくりとして、ぜひこの魔法のような舞台を体験してください!

blog 最終更新日:2016年5月8日 9:26 PM

【クルーレポート】お茶摘み体験@舞台芸術公園

4/30(土)に開催したお茶摘み体験。
こちらに参加してくださったシアタークルーの久保田雄介さんより、レポートが届きました!
臨場感たっぷりのレポートをどうぞご覧ください。

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4/30に「ふじのくに⇄せかい演劇祭2016」の出演俳優やスタッフがファンと交流するお茶摘み会が開催されました。
産まれも育ちも静岡、なのにお茶摘みは初体験のシアタークルー久保田がレポートをお届けします。

会場はなんと!舞台芸術公園。
お茶を摘むのに舞台芸術公園?ん?どういう事?!茶畑なんてあるの?!と半信半疑な気持ちで公園に伺うと・・・立派な茶畑がたくさんあるではないか!
芸術公園に茶畑という組み合わせの妙。新鮮な驚きに思わず「わぁ!」と歓喜の声が出てしまいました。さすがお茶の国静岡ですね。

当日は、お茶摘みをするにはこれ以上のお日柄はないであろう雲一つない大晴天!昨日の雨が嘘の様です。
BOXシアター前に広がる茶畑は、どこまでも広がる青空のスカイブルー、隆々と力強く葉を輝かせるお茶のグリーン、それら2色のコントラストが美しい会場でした。
富士山もハッキリ見え、演劇祭の開催を祝してくれているかのよう。

今日の目標は30キロ!
一芯二葉と呼ばれる、一つの芯に二つの葉がなる部分をみんなでツムツムします。皆さん、芸術談義に華を咲かせながらも、もくもくと新芽を摘んでいきます。

そしてなんと!あの「すぱっくん」も応援に駆けつけてくれました!流石は立派な眼の持ち主。次から次へと新芽を見つけては摘んでいきます。お茶摘み作業も慣れたもんです。何でも出来てしまうんですね、すぱっくん。

30分に1度の計測を繰り返し、5回目?にして27.3キロ達成!機械で揉んで、実際には5分の1の約5キロが製茶されるそうです。後日参加者の皆さんには、製茶されたお茶が送られるそうなので、到着が待ち遠しいですね!今回は目標には僅かに届きませんでしたが、お茶摘みをされていた方々のキラキラした笑顔がとても印象的でした。芸術談義に華を咲かせながらのお茶摘み体験なんて、ここ静岡舞台芸術公園内でしか出来ませんよね?!本当に贅沢で貴重な体験をさせて頂きました。

お茶を摘みながらも視覚的にグリーンに癒され、ときおりふわっと香るお茶の優しい香りにうっとりし、新芽の質感に季節を感じ、風にそよぐ新芽の音の優しさに包まれ、お茶摘みは五感で楽しめる素敵な作業でした。

皆さん良い汗をかいた後は『It’s Dark Outside おうちへかえろう』の観劇へ行かれるのでしょうか。そのまま会場に残り、歓談される方の姿も見受けられました。

お茶摘み体験は芸術祭の名物イベントです。今回参加出来なかった方は、是非来年参加してみて下さい♬お茶摘み体験以上の経験が得られる素敵なイベントです。

SPACシアタークルー 久保田雄介

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blog 最終更新日:2016年5月8日 9:31 PM

【クルーレポート】ストレンジシード、フェスティバルgarden、そして・・・『イナバとナバホの白兎』

4/29(金・祝)に開幕したふじのくに⇄せかい演劇祭も、5/3(火・祝)であっという間に折り返し地点。
『イナバとナバホの白兎』が上演される駿府城公園やその周辺の路上では「ストレンジシード」がスタートしました!

演劇・ダンス・大道芸をはじめ、多彩なパフォーマンスをなんと無料で!お楽しみいただける同企画。カンパニーデラシネラやFUKAIPRODUCE羽衣など、全国的に活躍するアーティストもぞくぞく登場し、何とも贅沢なプログラムです♪

そんなストレンジシードをはじめ、アートなオープンカフェ「フェスティバルgarden」、そして『イナバとナバホの白兎』について、執筆クルーの岩橋さんがまたまたレポートを寄せてくださいました!

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ストレンジシード、フェスティバルgarden、そして『イナバとナバホの白兎』を観てきました!

5/3、駿府城公園に着くと、まずは東御門に向かい、「壱劇屋」を観ました。関西から来た4人のパフォーマンスです。最初はパントマイムだけと思いきや、徐々にセリフが増えてきて、気が付くと劇が始まっていました。テンポよく進む話、思わぬ展開、とにかく面白くて、最後のオチまで笑いが止まりませんでした。観客も沢山いて、沢山の人達と一緒に笑って、笑って、とても楽しかったです!

次は、静岡市役所前のステージに移動して「CHAiroiPLIN」の童話『大きなかぶ』を観ました。そこには確かに登場人物であるおじいさんやお婆さんや孫や犬や猫がいるのですが・・・何か違う!みんな踊っている!キレッキレのダンスと、耳に残る楽しい歌、そしてもちろん笑いが止まりません。かぶの意外な行く末にはとても驚きました。市役所前は、階段が観客席になっていて、ちょっとした野外劇場のような感覚で観ることが出来て、新鮮でした。

次の公演まで少し時間があったので、フェスティバルGardenへ。ここでは、飲物の他にかき氷やインド料理、手作りおやきなどが売られていました。また、センスの良い静岡のお土産物もいくつかありました。中でも驚いたのは、コーヒーやビール、ジュースなどに交じって、なんと今年の新茶が飲めることです!アイスコーヒーのような感覚で新茶を飲めるなんて、とても静岡らしいですね。美味しそうに飲んでいる方も沢山いらっしゃいました。

私は、お腹が空いていたので地元食材を使った「ベーコンポテトおやき」というものを頼みました。 おやきは何度か食べたことがありますが、ベーコンとポテトが入ったものは初めて。味は・・・口の中でほろほろと溶けるポテト、塩の効いたおいしいベーコン、そしてほんのり甘いおやきの皮が合わさってもう本当に幸せな味がしました。胡椒の味も絶妙にアクセントを添え、とてもお洒落な、素敵なおやきでした。
座っていると、シロツメクサの甘い香りを爽やかな風が運んできます。それが本当に心地よくて、フェスティバルgardenの素敵な雰囲気も相まってずっとここに座っていたい、と思いました。

さて、次はまた東御門に向かいました。観るのは、「京本千恵美」のパントマイム。一人しかいないのに、逆に一人しか見させない、いうくらいの存在感でした。最初から最後まで一言も話さないのに、大人から小さい子供まで、観客すべてを巻き込んで一体とさせるその力はすごいなあ、と思いました。予想外、というより次を予想できないくらいの意外性に満ち溢れていましたが、笑いの中にふと心に迫ってくるものがありました。

今回、ストレンジシードを観て、「生」の力はすごい、と改めて感じました。その場で、同じ空間に居て、しかも間近に迫りくる圧倒的な「生きている」「なまの」力を感じます。その中には、かわいい、美しい、などのポジティブなものもありますが、「生々しい」とも言える、グロテスクさや、醜い、といった沢山のネガティブなものも、時には含まれています。そして、普段あまり見ないようにしていたそれらを全部含めた「生」を見ることで、「生きる」ということをかつてないほどリアルに感じました。全部含めた自分は、今、ここに、私が生きているんだ、という自分の存在をはっきりと感じることが出来て、あ、これでいいんだな、と気づいてとても安心しました。

とはいえ、ストレンジシード、そんなに難しいものではありません。普通に見て、ただただ笑って、すっきりして、楽しく帰ることもできます。しかも無料です。なので、安心してください。また、このレポートに書いているのは、ストレンジシードのなかでもほんの一部です。他のパフォーマンスも沢山あります!面白そうなものを、ぜひ見つけてみてください。

フェスティバルgardenの賑わいを観ながら、駿府城公園外堀のスイッチ総研へ。フェスティバルgardenは、前を通るたびに人が増えて、特に食べ物を売っているところでは行列ができていました。巨大チューブの「ハレウサギ」には、「イナバの白兎」を想像させる、かわいいうさぎやカラフルな富士山の絵が描いてあり、会場がより華やかになっています。
中に入って絵を描くこともできるそうで、沢山の人が中に入って絵を描いていました。
ただ、風の強い時間帯は中に入るのは難しいとのこと。

二の丸橋に着くと、もうスイッチ総研が始まっていました。スイッチ総研は、そこにある「スイッチ」を押すと、「何かが起こる!」というものです。「スイッチ」は、小さい旗だったり、手袋だったり、割と日常にありそうな物ばかりです。しかし、「押す」と、思いがけないことが起こります。何が起こるかは、お楽しみ!です!きっと最初はびっくりして、次に笑いが止まらなくなり、わくわくしてもう一回スイッチを押してみたくなることでしょう。

中でも私が特に面白い、と思ったスイッチは「巻物」です!はまりすぎて何度も何度も押してしまいました!静岡らしい、お茶やワサビを使ったスイッチもありますのでぜひぜひ、スイッチを押してみてください!写真で白い台に乗っているのが「スイッチ」です。

スイッチ総研は、日常の中に、くいっと非日常が入り込んでくるところがたまらなく面白いです。まるで、日常という透明な水に非日常という色水を一滴垂らしたように、ぱっと非日常が広がり、そしてまたなんでもなかったように日常が戻ってきます。
そして、スイッチ総研でずっと遊んでいると、帰りにただベンチに座っただけで何かが起こりそうな気がしてきてとても楽しいです!

スイッチ総研で思う存分遊んだあとは、少し休んで『イナバとナバホの白兎』を観劇しました。

私は野外の劇場で演劇を観るのは初めてだったのですが、室内の劇場は窓もないほどある意味「閉じた」空間なのに、野外は鳥の声も聞こえるほど「開いた」空間で、不思議な感じがしました。でも、移り行く空の色や自然の空気の中で演劇を観るのはいいなあ、と感じました。演劇は、神話の話ではありましたが、仮面や人形がとてもユーモラスで楽しく、話も自然についていくことが出来ました。始まる前に「セリフは言葉遊びのようなところも多くある」と聞いていたので、あ、言葉遊びだ、と思って聞くと楽しかったです。そして言葉遊びのような中から「台詞」が形をなして浮かびあってくる様子も興味深かったです。
まさに「祝祭」の雰囲気のする劇でした。

皆さんもぜひ、駿府城公園にお出かけください♪

SPACシアタークルー 岩橋くるみ

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5/3は他にもフェスティバルgardenにてシンポジウムが開催されました。
世界の演劇シーンの第一線で活躍する平田オリザさん、オンケンセンさん、そしてSPAC芸術総監督・宮城聰が登壇し、「演劇の力ってなんだろう?」というテーマで白熱した議論が展開。司会を務めた中井美穂さんの進行も絶妙でした。シンポジウムの詳細については、また後日レポートいたします!

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★『イナバとナバホの白兎』は全公演完売いたしました!!
キャンセル待ちのお申し込み:SPACチケットセンター TEL.054-202-3399 (10:00~18:00)

★上演スケジュールや会場などストレンジシードの詳細はこちら。MAPのダウンロードもできます!
https://festival-shizuoka.jp/2016/event/strangeseed/

★フェスティバルgardenの詳細はこちら
http://www.sndcafe.net/blog/2016/04/festivalgarden.html

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blog 最終更新日:2016年5月8日 10:37 PM

【5/2 演劇祭レポート】在日外国人&海外メディア視察ツアー

今年の演劇祭では、演劇をひとつの目的とした観光誘客を図るため、在日外国人を対象としたモニターツアーを実施しました。モニターの他、外国人用旅行誌メディアやマレーシアのTVメディアもツアーに参加。『三代目、りちゃあど』『イナバとナバホの白兎』の観劇に加え、静岡市内の観光名所を1泊2日で回りました。

ツアー2日目となる5/2は、久能山東照宮を見学した後、舞台芸術公園へ。

公園内のお茶畑でお茶摘み体験をしました。

先日4/30のお茶摘み体験でもお世話になった牧野さん(公園内のお茶畑を管理してくださっています)からレクチャーいただき、茶びくを付けて、いざお茶摘み開始!!

と・・・お茶摘み、というよりお茶畑そのものが物珍しいらしく・・・、お茶畑でおもしろ動画の撮影がスタート!マレーシアのTVメディア(バラエティ番組の制作クルーだそうです)は、番組内に「お茶摘み競争コーナー」を急遽つくり、撮影をはじめました!!

何とも自由なお茶摘みですが(笑)、静岡の初夏の風物詩を満喫していただけたようです。

お茶摘み体験の後は、静岡浅間神社に移動。宮司さんのご案内で境内を見学しました。

「おせんげんさん」として静岡市民に親しまれている静岡浅間神社ですが、実は「神部(かんべ)神社」「浅間(あさま)神社」「大歳御祖(おおとしみおや)神社」の三社の総称。境内には他にも4社が鎮座しているそうです。

「神部神社」の御由緒は、なんと約2100年前にまでさかのぼり、この地方最古の神社だそう。そしてこの神社の主祭神は・・・、大国主命(おおくにぬしのみこと)!!『イナバとナバホの白兎』第一幕の主人公です。観劇前にお参りするのにふさわしい神社ですね。

拝殿は国指定重要文化財で「浅間造り」と呼ばれる神社建築としては特殊なつくり。伊勢神宮や出雲大社を思い浮かべると、屋根の両端の所で交差し高く突き出ている部分「千木」がありますよね。浅間神社の拝殿には、この千木が無いんです。そして、建物の高さ約25mは、全国の神社建築の中では最も高い建物だそう(出雲大社はこの千木を入れて約25m)。徳川家の厚い崇拝があったからこそ、の豪華さです。

拝殿の中も、狩野派の絵師による色鮮やかな天女の絵や彫り物で埋め尽くされています。

ひとつひとつの彫刻の繊細さと色彩に見入っていると・・・、あれは兎・・・?あちらは鼠・・・??大国主命を祀る「神部神社」の拝殿ですので(なおこの拝殿は、「浅間神社」の拝殿でもあります)、なんと彫刻も大国主命ゆかりのモチーフなんだそうです!第一幕「イナバ編」に大国主命と兎、鼠とのエピソードが登場しますので、どうぞお楽しみに!

拝殿からではなく、一般の人は普段入れない社殿の前まで入れていただき、大国主命に一番近い場所で、公演の成功を祈ります。


※社殿の外観。右が「神部神社」左が「浅間神社」です。

さあ、身を清めて準備万端!『イナバとナバホの白兎』上演会場の駿府城公園に向かいます。

この日はGW狭間の平日にも関わらず、上演初日ということもあり、満員御礼!

SPAC芸術総監督・宮城聰による前説スタートと同時に、地謡を担当する俳優たちが静かに舞台にあがります。心地良い緊張に包まれる中、客電が落ち・・・いよいよ開演!

第一幕の「イナバ編」、第二幕の「ナバホ編」は仮面劇。「ナバホ編」の仮面は顔の倍以上の大きさもあり、前が見えず、とても大変だそう・・・。それぞれの仮面の表情の違いや大きさにも、ぜひご注目ください!

そして第三幕は、SPACがオリジナルで創造した物語。「いなばの白うさぎ」とナバホ族の神話の要素を抽出し、俳優たちが議論を積み重ねて紡ぎあげた、生命の理・人の営みをあらわす壮大な神話です。仮面は用いず、衣裳や用いる小道具もシンプルかつ最小限。俳優たちの身体の細かい動き、筋肉の緊張なども際立ちます。また、シンプルな分、観る側の私たちの想像力に委ねられているお芝居、とも言えるのではないでしょうか?

「にぎやかな祝祭音楽劇」のうたい文句どおりの大団円に、お客様のボルテージも最高潮!

在日外国人&海外メディアツアーの皆様も大満足のご様子でした。(海外の方も楽しめるよう、英語字幕がございますので、ご安心ください!)

今回は外国人対象のモニターツアーでしたが、国内からの方も、「単に観劇だけして慌ただしく日帰りで帰る」のではなく、たまには一泊して、一年で最も美しい初夏の静岡を満喫してみませんか?
「でもお金もないし・・・」という方のために、地域のお寺や自治会館が演劇祭期間限定でゲストハウスになる「みんなのnedocoプロジェクト」もございます。今年は既に申し込みは締め切られておりますが、来年以降ぜひご検討ください!

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★『イナバとナバホの白兎』は全公演完売いたしました!!
キャンセル待ちのお申し込み:SPACチケットセンター TEL.054-202-3399 (10:00~18:00)

★『イナバとナバホの白兎』が上演される5/2~5、公園内にはアートなオープンカフェ「フェスティバルgarden」が出現。軽食やスイーツ、地ビールや自家焙煎珈琲などのドリンク類も充実しており、観劇前の腹ごしらえにはピッタリです♪開演30分前より、SPAC俳優・永井健二によるプレトークもございますので、ぜひお立ち寄りください。
https://festival-shizuoka.jp/2016/event/festival_bar-festival_garden/

★【同時開催】ストレンジシード
演劇、ダンス、大道芸などなど・・・多彩なパフォーマンスをご覧いただけます!
https://festival-shizuoka.jp/2016/event/strangeseed/https://festival-shizuoka.jp/2016/event/strangeseed/

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blog 最終更新日:2016年5月8日 10:44 PM

【クルーレポート】開幕式&『三代目、りちゃあど』

演劇祭は多くのシアタークルー(ボランティア)の方々に支えられています。
皆さんも劇場にいらした際、チケットをもぎったり、当日パンフレットを渡したり、カフェコーナーで給仕をするクルーさんを目にしていると思います。
そんなクルーさんの活動の中で、「執筆」があることをご存じですか?

先日、演劇祭のキックオフミーティングについてレポートしてくださったクルーの岩橋くるみさんから、『三代目、りちゃあど』の素敵なレポートが届きましたのでご紹介いたします。

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「ふじのくに⇄せかい演劇祭2016」の開幕式、そして『三代目、りちゃあど』の初日に行ってきました。

開幕式では、野球の「始球式」ならぬ「始演式」として、SPAC俳優の方々による、『リチャード三世』の一節の朗読が行われました。しんとした会場に響く朗読の声に、思わず聞き入ってしまいました。会場では、草薙ツアーグループによる呈茶サービスもあり、きりっとした美味しいお茶を頂くことが出来ました。

開幕式の後は、いよいよ『三代目、りちゃあど』の開演です。

始まった瞬間、まず俳優の完璧な動きに目を奪われ、そして音楽や様々な演出でぐいぐいと物語の中に引きこまれていきました。

また、『リチャード三世』の話、シェイクスピア自身の話、そして裁判と色々な違う話が舞台の上で自然につながっていき、その様子は不思議で、夢のようであり、まるで一人の人の想像の世界を巡っているようでもありました。

今回は、紹介にもあるように、多彩な国籍・ジャンルの俳優の方々が出演する舞台でした。その中で何より印象的だったのは、異なる言葉による台詞、それぞれの演じる役の「個性」が舞台上で際立ちつつも自然に存在していることです。普段の生活では、価値観や言葉や文化の違う相手とともにいるのはなかなか簡単ではない、と感じがちですが、今回の作品では至って自然に、それぞれが強い個性を持ちながらもありのまま舞台上に存在し、調和を創り出しているようでした。

最初はそのような異なる言語や強い個性が共存していることに違和感をおぼえましたが、徐々にその状態がとても自然に見えてきて、そのことに自分でも驚きました。そして、舞台上で異なるものがこんなに自然に共存していることが、「現実世界においても、自分と異なる価値観や文化を持つ相手とうまくやっていくことは可能なのではないか」と感じさせてくれました。

また劇中では、「影絵」が演出で随所に使われていました。これは時にそのものである小さな人形に見え、時に舞台の人間と同じ大きさになります。「人間が作った人形が人間と同じになる」という点で、シェイクスピアと彼の想像が作った悪役が、裁判という同じ場所に立ち、想像の産物であるはずの悪役が「お前と俺は同じ人間だ」と語る、それと似ていました。シェイクスピアと彼の作った悪役は本当に同じ人間なのか、それともどちらも誰かの想像によってつくられたものなのか・・・?それを考えた時、一瞬、自分の存在すらも危うく思われます。

「想像」が作り出すもの、「想像」から作り出されたもの、もしくは想像自体に潜んでいるそれぞれの哀しさやどこにも向けようのない憤り。それを感じた時、登場人物だけでなく、作者自身もまた作者の作り出した想像に操られ、飲み込まれてしまっているのではないか…、ふとそう感じました。

まだまだ演劇祭は続きます。次はどんな作品に出会えるか、楽しみです。

最後になりましたが、観劇にあたり、内容についていけるだろうか・・・、と不安に感じる方には、開演前のプレトークをご覧になることをオススメします。分かりやすく、楽しく、作品の背景やあらすじをお話してくださるので、その話にスッと入っていくことができます!私は今回プレトークで登場人物の関係を知ることができ、作品がより分かりやすくなりました。劇場にちょっと早く着いたら、プレトークへ。オススメです!

SPACシアタークルー 岩橋くるみ

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