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『ユビュ王、アパルトヘイトの証言台に立つ』まもなく上演!

4/29(金)に開幕した演劇祭。はやくも中盤となりました!
5/3(火)、5/4(水)には、『ユビュ王、アパルトヘイトの証言台に立つ』が
日本で初めて上演されます。

シアタークルーボランティアとして制作の仕事をお手伝いいただいている
遠藤明日香さんが、
この作品の魅力をまとめてくださいました。
今回のブログでは、こちらをご紹介します。

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みなさん、「南アフリカ共和国」という国を知っていますか?
スポーツの好きな方なら、
2010年のサッカー・ワールドカップの開催地として思い出すかもしれません。

人種によって居住地や生活を左右する、人種隔離政策「アパルトヘイト」。
この作品では、アパルトヘイト撤廃後に加害者と被害者が和解のために開かれた
「真実和解委員会」の様子が描かれています。

劇中では、この作品の演出家で、元々美術家でもあるウィリアム・ケントリッジ自身
によって描かれたモノクロのアニメーションが壁をスクリーンにして映し出されます。
これらと登場人物たちの動きが組み合わさるなど、映像を使った演出も特徴的です。

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【証言台に立つユビュ王】

それもあってか舞台の照明は控えめで、光の当たる登場人物たちは、
その分くっきりと浮かび上がり、印象的に感じられるかもしれません。

2
【被害者の証言シーン】

特に被害者の証言シーンでは、登場人物たちが、
暴きだすような、あるいは辛うじて灯るような明かりの中で語ります。
しかしふと気づくと、彼らの周囲は未だ暗いのです。

この作品の演出を手掛けたウィリアム・ケントリッジは、
「ヨハネブルク(Johannesburg)」という町で生まれ育ちました。

3
【南アフリカ最大の都市とも言われるヨハネスブルク。
その町の中心部には近代的な建物が建ち並びます。】

19世紀末に金鉱が発見され、金を求めて際限なく掘り下げられたという。
その結果、こうした鉱山産業の跡として
郊外の地下には今でも大きな空洞が存在しているのだそうです。

ケントリッジは、
このような土地の歴史に重ねて、ヨハネスブルクについてこう表現しています。

「人々は自分たちの足の下に存在するもの、つまり空洞や地下でうごめく何かに対して恐れを抱いていました。
こうした恐れは、1960年代から1970年代にかけてこの国で起こった政治的動乱を象徴するものとなりました。
この目に見えない地下の世界は、この町の社会的な存在を理解する一つの手段なのです。」

(「この世界とともに−ヨハネスブルク物語」、第26回京都賞受賞記念講演録)

私たちは、この舞台上に見えるものに何を感じるでしょう?
そして見えない部分に何を見るでしょうか?
ぜひ、劇場で確かめてみませんか!?
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~『ウィリアム・ケントリッジの謎』DVDを販売!~

本作の上演日5/3(火)と5/4(水)に、物販コーナーにて、
『ウィリアム・ケントリッジの謎』DVDを¥2,000 (税込)
で販売いたします。

木炭素描をコマ撮りにした「動くドローイング」でも知られる
ケントリッジ氏の創作を取材した60分程度のドキュメンタリー映画です。
ぜひお買い求めください!
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『ユビュ王、アパルトヘイトの証言台に立つ』
演出 ウィリアム・ケントリッジ
5月3日(火・祝)13:00/4日(水・祝)14:00
静岡芸術劇場
☆公演の詳細はこちら
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