「ふじのくに⇄せかい演劇祭2018」4月28日に開幕し、早くも前半が終了しました!
舞台芸術公園と静岡芸術劇場を会場に、4作品がならんだ3日間を、写真とともにレポートします。
開幕初日、お天気にも恵まれ、野外劇場前広場では『寿歌』開演の前に「開幕式」が行われました。
開幕式恒例、「始演式」(野球の「始球式」になぞらえたミニパフォーマンス)では、『マハーバーラタ』に出演するSPAC俳優14名と、スペシャルゲストとして川勝平太静岡県知事が出演されました。
▲「唄はちゃっきりぶ~し~♪」唄とお囃子で広場に登場する俳優たち。(『ちゃっきり節』作詞:北原白秋)
撮影:平尾正志
始演式で上演したのはオリジナル台本の『喫茶去(きっさこ)』。中国の伝説の高僧が、誰でも「喫茶去=まあ、お茶でもどうぞ」と招き入れたことになぞらえ、演劇祭、ひいては新茶香る静岡への歓待の気持ちを込めました。大勢のお客様とともに演劇祭が賑やかに開幕しました!
撮影:猪熊康夫
撮影:猪熊康夫
開幕式に先立ち、この日最初に上演されたのは、ジャン・ランベール=ヴィルド演出・出演による『リチャード三世 ~道化たちの醒めない悪夢~』(28~30日)。BOXシアターの密な空間に、ステファヌ・ブランケのサイケデリックな舞台美術がお目見え。
撮影:平尾正志
撮影:平尾正志
観客から手が届きそうな距離で、縦横無尽に駆け回るリチャード!観客も劇中の「市民」として巻き込まれ、次々に繰り出される舞台美術のからくりに驚かされながら、アッというまの2時間でした。
▲観客に”甘~いお菓子”を配るリチャード。
撮影:平尾正志
宮城聰演出の『寿歌』は28・30日、夕暮れとともに開演。野外劇場「有度」の客席は満員の観客で埋め尽くされました。
撮影:猪熊康夫
奥には鮮やかな新緑の木々、舞台には無限にループする道、そして人工物が散乱する地面。そこであっけらかんと交わされる、ゲサク、キョウコ、ヤスオのボケ、ゆるい突っ込み!観客からしばしば笑いが起き、核戦争後の世界という設定でありながら、リアルで愛おしくなるような舞台で会場は一体感に包まれました。
撮影:平尾正志
撮影:平尾正志
29・30日に静岡芸術劇場で上演されたのは、トーマス・オスターマイアー演出の『民衆の敵』。
撮影:平尾正志
撮影:平尾正志
クライマックスの演説シーン、観客はその聴衆として意見を求められます。会場が静まり返るのでは・・・という予想に反して、客席からは次々に手があがり、「日本では水俣病での体験がある」「事実を指摘するだけでなく打開策を示すべきだ」など、作品に沿いながらも実感のこもった意見で会場が沸きました。
30日には、オスターマイアー氏を囲んだスペシャルトークも開催。
こちらも次々と質問や意見が飛び出し、皆さん真剣にメモを取っている姿が印象的でした。
撮影:猪熊康夫
撮影:猪熊康夫
28~30日に舞台芸術公園の「楕円堂」で4公演が上演されたのは、クロード・レジ演出の『夢と錯乱』。開演前に咳止めの「飴」が配られるなど、静寂を求められるのもレジ作品ならでは。「別れの挨拶」と言うにふさわしい、そしてもう二度と新作を観ることができないかもしれない寂しさに襲われる、そんな舞台でした。
『夢と錯乱』チームはこの後、京都での公演が待っています。
▲『夢と錯乱』のフランスチーム。バラシを終えてこれから京都へ。右から2人目がヤン・ブードーさん。
さて、いよいよ明日3日から後半の4作品が始まります!前半とはまた異なる演劇の広がりを感じて頂けるプログラムです。まだチケットがお買い求めいただける日程もございます。皆さまのご来場をお待ちしています。
▲『シミュレイクラム』の小島章司さんとダニエル・プロイエットさん。1日に劇場入りしリハーサルが始まった。
▲「駿府城公園で待ってまーす!」開幕式に出演した『マハーバーラタ』のSPAC俳優たち(一部)。
撮影:平尾正志