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【シアタークルーレポート】『寿歌』2

「ふじのくに⇄せかい演劇祭」が閉幕してから早1ヶ月。
SPACの本拠地・静岡芸術劇場では、今週末『繻子の靴』公演が行われますが…一方で『寿歌』は全国ツアー真っ只中!ゲサクとキョウコ、そしてヤスオの旅はまだまだ続いているんです!!明日の茨城県ひたちなか市での公演を前に、シアタークルー・かさまみちよさんのレポートをご紹介します。

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寿歌 -笑える。笑えるからどことなくちょっと寂しい。

この作品は絶対観たい!!と、チラシを見た時から思っていました。

『寿歌』という作品を知ったのは、実は10代後半の頃でした。
今から30年も前です。
先輩の出ていた昔の古い公演ビデオを借りたので、公演はもっともっと前、ということになります。
その時私が受けたメッセージは今とはちょっと違っていて、ざっくり言うと
「みんな違ってみんないい」「ここに居場所がなくてもそこにある」
そんなところだったのかもしれません。

戦争や死をまだあまり意識しない10代ということ、
宮崎から言葉のなまりもとれない状態で就職して間もなかったこともあって、
はじめて味わう「孤独」と寿歌の「寂しさ、孤独」がリンクしたのかもしれません。

その寿歌が2018年にSPACさんで観れる!!
どんな風になるのかな。案内のチラシ観た時からワクワクしていました。
チラシは
鏡でうつしたようなカラフルな、街の風景のようなお飾りの写真でした。
この同じ世界ではなく、異次元の世界を表しているのだろうか、と思わせるものでした。
舞台を組み立てている時のブログも見ました。
使わなくなったプラスチックを集めてカラフルなビニールを組み合わせている。

どんな世界か、ますます気になり、
そしてついに公演日になりました。
野外劇場「有度」。
その目の前に広がる不思議な世界。
木々の中にうかびあがるカラフルな「瓦礫」
メビウスの輪のような舞台。
INO09387c

とても近代的なものでした。

そこに主人公「ゲサク」はすでにいました。
私たちが会場に入り、ざわついている時、満席なので、つめたりしているのにまったく気にせず、
すごく自然に舞台の上で寝て、くつろいでいました。
あそことこっち
時空が違うような気がしました。

INO_064_寿歌

ゲサクとキョウコと、そしてヤスオさん。
なんだかやさしい3人組。
INO_091_寿歌

核戦争後、まだミサイルが飛び交う廃墟を旅しています。
ヤスオさんは神様・・・のようなのですが、ちょっとたよりない怪しい感じです。
背中にムチの痕でしょうか。深い傷を負っています。ゴルゴダの丘を目指しているようです。
生命力ある木々での中でのその3人の様子は
なんというか水晶玉を通してながめているような、そんな気分になりました。

INO_190_寿歌

そして10代の頃では感じえなかった
生きることの寂しさ、むなしさも、作品を通して伝わってきました。

笑える。笑えるからどことなくちょっと寂しい。
命をかけても、一生懸命やってもせいぜいがその程度。

でも確かに現実ってそんなもの。

最後に、キョウコがヤスオのことを
「マボロシだった」と言っていたのですが、私は3人ともがマボロシのような気がしました。

大きな戦争があってみんな亡くなって、
ホタルたちは亡くなった人々の魂で
ゲサクとキョウコも魂だけが残ってメビウスの輪のようなあの道をずっとずっと終わりのない旅をしているのかなって。

核戦争
本当にあるかも、と、そんな時代になりました。
どこかが爆発したら、きっともう終わり。
もしも「その時」がきた時、私は灰になるのかそれとも「ホタル」になるのか。
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たきいみきさん演じるキョウコのやさしい歌声が耳に残って、
いつか自分が亡くなる「その時」も聞いていたいような気持ちになりました。

今回16歳の娘と観ました。
娘と私はやはり感想が違っていて、それを話すのもまた楽しい時間になりました。
ずっと心に残る、3人の物語です。
そしてまたいつか、観たいです。

追伸・・・ヤスオさんの太鼓・・・お水のボトル、
あんなにいい音が出るとは思いませんでした!!!楽器ですね。新発見でした。
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シアタークルー・かさまみちよ

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ひたちなかでの公演後、『寿歌』は今回のツアーのスタート地点でもある愛知県に戻り、知立市そして小牧市を巡ります。比較的近場ですので、是非皆様足をお運びいただき、野外公演とはひと味違った舞台をお楽しみいただければ、そして最後まで3人の旅を応援いただければと思います!

★☆★ 今後のツアー予定 ★☆★
https://hogiuta.com/

<茨城公演>
■日時:2018年6月8日(金)19:00
■会場:ひたちなか市文化会館小ホール
■料金:一般2,500円 U22 1,200円 
■問い合わせ:ひたちなか市文化会館 029-275-1122

<愛知・知立公演>
■日時:[劇場と子ども7万人プロジェクト]学校招待公演/2018年6月13日(水)~15日(金) 一般公演/6月16日(土)14:00
■会場:パティオ池鯉鮒(知立市文化会館)花しょうぶホール
■料金:一般2,500円 25歳以下1,000円 
■問い合わせ:パティオ池鯉鮒 0566-83-8102

<愛知・小牧公演>
■日時:[劇場と子ども7万人プロジェクト]学校招待公演/2018年6月21日(木)・22日(金) 一般公演/6月23日(土)14:00
■会場:小牧市市民会館
■料金:一般2,500円 U25 1,000円 
■問い合わせ:こまき市民文化財団 0568-71-9700

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